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【私のビョーキ】
【ショタ 官能小説】

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【私のビョーキ】-12

***−−−***

 雨。
 朝から降り続いてたけど、私の心は乾いていた。
 今日は公園に行かなくて済む。だけど、最近は晴れていたにも関わらず、ずっと行ってない。

 だって、続きを聞くのが怖いから。

 もし聞いたら、きっと私はアッキーを嫌いになる。
 いや、嫌いにならずとも、きっと他の男子と同じようにしか思えなくなるはず。
 それが嫌だった。

 でも、こうして窓の外を眺めていたところで、なにも変わらない。
 アッキーは日々大人になろうとしてるし、それは巻き戻すことが出来ない。
 せめてアッキーが私をそういう風に意識していなければ……。

 ん? ちょっと待ってよ。アッキーは『言わないといけないことがある』だけでしょ? 
 それってさ、お礼とかそんなんじゃない? 服選んであげたとか、一緒に遊んだとかさ。あのお父さん、かなり礼儀正しい人そうだし、だよね。

 ……あはは、私の勘違いだ。なに一人で盛り上ってるのかしら。これだからもてたことの無い女は困るわ。
 そうよ、きっとそう。明日晴れたら公園に行って、アッキーに謝らないと。そして何を言い出したのか聞いてみよう。そしたらきっと笑い話になるもん。きっとそうだもん。

「ねえ阿川さん……」

 勉強のフリをしていた私に話しかけてくる人がいるなんてそうそうない。そのせいか自分の名前が呼ばれたのにも関わらず、すぐに気付かなかった。

「ん、なに? えっと……委員長」

 三つ編みお下げのいかにも真面目な彼女の名前は……思い出せない。確か「み」がついた気がするけど。

「あのね、彼氏さんでいいのかな?」

 はあ……。まさかこの子にまで言われると思わなかった。別に年下の子と遊んでたっていいじゃない。

「あのねえ委員長、私は……」

「ユッキー……ゴメン」

 震えた声だけど聞き覚えがある。見ると、「み」がつく委員長の後ろにはびしょびしょに濡れたアッキーがいる。

「ユッキーに会わせてって言うから、先生に内緒で連れて来ちゃった」

 イタズラっぽく舌をぺロリと出す彼女は不真面目だと思う。でも、彼女の名前を覚えていない自分はただのバカだと思った。

 部活で汗をかくことの多かった私は、常に鞄にタオルを入れている。そんな習慣もなにかの役に立つものだと一人頷く。
 それにしても一体どうして中学校に来たのかしら。やっぱり私が公園に行くのをサボっていたから? だけど、勉強が忙しいと言い訳しておいたし、サボったのもまだ三日程度。

「あのね、ユッキー、俺、言わないといけないことあったから」

「うん。この前は聞けなくてごめんね。でも、そんなに急がなくてもいいじゃない?
 明日晴れたらいくつもりだったし、だいいち、傘ぐらいさしてないと風邪引くよ」

 ずずっと鼻を啜る音を聞くと、もうひいてしまったのかもしれない。


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