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fantasy ability
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reality ability‐第8話‐刻印・【真】‐-6

「私は貴方の事が心配なのよ。‥‥可笑しな事よね。でも、私の“皇希”と今、目の前にいる“皇希”が“全くの別人”に思えるの。解らないわ。私の間違いならそれでもいいの。この気持ちが不思議なのよ。それと貴方を見ていると“死”をイメージして怖いのよ。答えて、答えてよ!」

零歌は途中から目を開き、懇願するような表情で皇希に問い詰めた。自分の意味不明の気持ちと皇希を見ると“死”のイメージが溢れるらしい。
答えを知りたいが“目の前の皇希”は何も言わない。それどころか、“真(しん)”を隠す。まるで“何か”を嫌うように。
その事を零歌は解っている。仮にも“未来の皇希”から創られた“生命”。知っている上での更なる謎が“目の前の皇希”‥‥。
読者には意味が解らない事かも知れないが、これが零歌の言っている事である。

「‥‥‥。“真”は俺を変えた。そして、“絶対の真”が俺を更に変えた。未来の俺なら知っている。それを聞け。“三度目”で変えた理由は俺にも解らない。これが俺の“答え”だ。」

皇希は意味が解らない答えを返した。だが、その表情には“偽り”といった二文字がないのが解る。零歌は驚いているからだ。

「‥‥心身詠唱。統神 零歌よ。“ここから去れ”。」

零歌ははっとしたが、時既に遅しだった。体が勝手に動き始めたのだ。零歌は‘言霊!?’と言って去った。



数分後に皇希は落胆したような表情で椅子に座った。視線は扉を捉えていた。

「‥‥‥‥はぁ。」

考えているようだった。何故、“真”を言ってしまったのか?だが、数十秒後には解ったらしく、少し溜め息を吐く程度だった。





‐???‐

織音は見知らぬ場所に居た。霧ような煙で辺りを包まれていた。見回すが何もないのが解る。

「ここは‥‥‥‥‥‥私の精神の中?」

織音は戸惑いながらも言った。誰も居ないのは織音にも解っている。ただ、問い掛けるように喋っただけだった。しかし、それに答えが返ってきた。

「そうよ。」
「っ───!?」

織音は後ろからの声に驚いた。声の主は自分。いや、精神の織音かも知れないが、もう一人の自分がそこに堂々と立っていた。

「私は貴女。解るわよね?‥‥皇によって貴女はここに来れたのよ?」

織音は思わず構える。それはもう一人の織音から殺気を感じているからだ。しかし、彼女は喋り続ける。

「本来なら直ぐにでも貴女を現実世界に戻したいけど、皇がそれを邪魔しているのよ。」

やれやれと仕草をしたもう一人の織音。織音は問う。一番の疑問を、一番の不安を、一番の不思議を。

「貴女は本当に私なの?何かは解らないけど、違っているわ。」

もう一人の織音は笑う。無邪気に。その声の音量は辺りに響き渡るぐらいだ。落ち着きを取り戻した彼女は喋り出す。


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