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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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トースト・トースト-2

「ダナの奴、今日の買い出し係が俺って分かってて頼んだとしたら、タチ悪いぜ」
「さあね。それにしても本当ダナって家庭的よね。今時バレンタインのチョコレートを手作りって、他にいないんじゃない?」
ジャムはコップに、パック入りミルクを注ぎながら言った。
確かに、店に行けば砂糖菓子でデコレートされたものや可愛らしく型抜きされたチョコレートが、ラッピング済みで並んでいる。
「ま、愛情込めるなら手作りには敵わないかもしれないけど」
「相手があいつじゃあ、貰った奴が気の毒だ」
エイジは言って、ジャムが注いだばかりのミルクを横取りする。
あッ、と彼女が抗議の声を上げるのは気にしない。
「貰えない方がずーっと可哀想だと思うけど?」
ミルクを取られ、むっとした様子でジャムが喧嘩腰に言うと、エイジも口の端を引き攣らせた。
「作ってやる相手がいないってのも悲しいけどな?」
「な、何よ!」
「やるか!?」
「はーいはいはい、そこまで」
聞こえた声は、入り口からだ。
二人が同時に声の方を振り向く。
そこにいたのは、100万G級賞金首の海賊か、それとも麻薬シンジケートの幹部か。
浅黒い肌の、凶悪な面構えをした大男だった。
「あんた達、また喧嘩ァ? いい加減にしなさいな。今度はどうして揉めたの?」
「「ダナ」」
エイジとジャムの二人は、その外見と口調のギャップには慣れている様子だった。
ダナと呼ばれた男が、その容貌にそぐわぬ口調でもって言って、ふうと溜息をつく。

エイジ、ジャム、ダナのこの三人は、一つのトレジャーハンターチーム。
財宝を求めて星の海を駆け回るのを生業としている。
と言っても、トレジャーの情報が少ない今、ハンターは休業中。
三人はそれぞれ、このアジトで暇を潰しているかアルバイトに出かけていた。
そして丁度今、アルバイトから帰ってきたばかりのダナは、言い合う二人の中に入ってそれぞれの言い分を聞いているところであった。
「「だってこいつが」」
同時に口を開くエイジとジャム。
そんな二人の脳天に、男は手刀を打ち下ろす。
「喧嘩両成敗って言葉、知ってる?」
言って肩を竦めると、男はテーブルの上の買い物袋に気付いた。

「あら、買い出し行ってくれたのね」
「ふっざけんな、ダナ! てめえのそれがそもそもの原因なんだよ!」
頭を抑えながら若干涙目でエイジが声を上げる。
「?」
ダナは首を傾げて買い出しの品を見た。
「あたしはただ、この時期に男がチョコレートを買うのは悲しいねって言っただけだもん」
ジャムの言葉に、ダナがようやく合点がいったように頷いた。
「そンな下らないことで言い争ってたわけ?」
呆れたようにダナは二人を見やった。
そしてくすりと笑い、彼はジャムに耳打ちする。
「これはジャムが悪いンじゃないかしら。エイジ、図星なンだから可哀想よ」
「おい、聞こえてるぞオカマ」
不機嫌そうにエイジがぼそり言うと、今度はダナがかっとしたように拳を振り上げた。
「ア゛ア!? てめェ何つったコラァ!」
「お、落ち着いてダナ」
ジャムが慌てて頭に血が上った様子のダナを抑える。
エイジは既にソファの陰に隠れていた。
「何度でも言ってやらぁ、このオ――」
言いかけて、しかしエイジは後頭部にコブを作ってその場にくずおれた。
「この馬鹿ッ、ダナを怒らせないでよ!」
声を上げるジャムの手には、花瓶。
のびたエイジの胸倉を掴み、彼女はそれに、と声を潜めて言った。


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