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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-32

「くくく……ついに手に入ったぞ!」
レッドは小瓶のコルクを歯でもって抜くと、歓喜に震えた声で言う。
彼女は妹達に視線を向けると、サイファ博士を拘束したままで声を上げた。
「赤薔薇に宿る闘争は!」
三度目の口上である。さすがにエイジ達は明らかにうんざりした顔を浮かべた。
「「我らが美がため!」」
「『若返りの水』はこのローゼンロット海賊団が頂いたよ!」
レッドが小瓶を手に笑った。
そんな彼女にエイジは顔を顰めながら言う。
「もういいだろ。早く博士を離すんだ」
しかしレッドはエイジの求めには首を横に振った。
「まだだ。この水の効果を確かめてからでないとな」
そう言ってレッドは、博士に問う。
「これを飲めば効果が出るんだな?」
博士が頷くと、レッドはにやりと笑い、小瓶を煽った。
ごくり、と喉を鳴らしてレッドは『若返りの水』を一滴残らず飲み込む。
息をつき、小瓶を投げ捨てて彼女はその効果が現れるのを待った。
エイジ達も歯噛みしながら、レッドの身体の変化を待つ。
「!?」
どくん、とレッドは突然自分の心臓が振るえたのを感じた。
確かに身体が熱くなっている。ぐつぐつと全身に流れる血液が沸き立っているようだった。
「う……ぐ、あああ……!」
「姉貴!」「姉さま!」
頭を抱えたレッドに、スカーレットとルビィが駆け寄った。
「か、感じるぞ……若返る……顔の皺が消えていく……!」
レッドは両の頬に手を当てて、声を震わせながら言った。

「た、確かに」
「若返ってはいるけど」
しかし妹達は、どこか戸惑ったように言い――信じられないといったふうに目を瞬かせた。
レッドはそんな彼女達の反応に不満げに口を尖らせた。
「何さ、お前達。あたしが若返ったのが、そんな……に……」
彼女は喋っている途中で違和感に気付いたらしい。
自分の視界がいつもより低いことに、そして自分の声が幼いことに。
「な……何だ、これは」
わなわなと震えるレッド。
スカーレットとルビィだけでなく、思わずエイジ達も彼女の変化に目を疑った。
「レ、レッドが」
「子供になったァ!?」
ぶかぶかになった軍服を引きずるように何歩か歩いた後、レッドは顔を引き攣らせた。
「あたしが……あたしが、子供だと!?」
声はその場にいた誰よりも幼い――見た目も、十五に満たないほどである。
軍服に包まれた肢体は、先程までの大人のものではなく、発育前の未熟なものだ。
思わず、といったふうにダナが吹き出した。
「やァだ、可愛いじゃないのォ! 年増よか全然マシよォ!」
「ぷ」
「わ、悪いわよ」
「何よ、ジャムだって笑ってンじゃないの」
「お黙り!」
堪え切れずに笑い出す三人に、レッドは顔を真っ赤にして怒り出した。
「あ、姉貴?」「ね、姉さん?」
スカーレットとルビィは、彼女のことを何と呼んでいいか分からないと言った様子で、レッドを呼びながらもその言葉の後ろには疑問符を付けていた。
憤りも露わに、赤い髪の少女は地団駄を踏む。
「お前達もあたしを馬鹿にしているのか!? おい、貴様! これは何だ、聞いていないぞ!?」
レッドが歯を剥いてサイファ博士に詰め寄った。
そんなことを言われても、と言った様子で博士は肩を竦める。


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