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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-30

「それで、遺跡とどンな関係があるわけェ?」
ダナが首を傾げながら問うと、博士は楽しげに笑った。
「基本的にわしは楽しいことが大好きなのだよ」
そして博士は、三人を小さなモニタの並んだ場所に案内した。
「ディオニシスにはトレジャーハンターが多くくるだろう? 彼らはトレジャースポットにスリルとロマンを求める。そういったスリルを、わしも彼らに与えたいと思ってね」
博士がモニタを指差すと、そこには暗闇の中赤外線カメラで撮影された遺跡内部の映像が映し出されていた。
「そこで大学時代に培った工学を活かしてつくったのがこのダンジョン! トラップも迷路も、すべてわしの設計なのだ!」
「ちょっと待ってくれ!」
エイジが博士に言った。
「だったら、アトラクションってならトラップに本物の刃物使うなよ! 見てくれ、このジャケット!」
そう言って、エイジはジャケットが裂けた部分を見せる。
すると博士はからからと笑いながら言った。
「だって、いくらアトラクションだっていっても、全くの偽者ではつまらないだろう? スリルもないだろうしね」
「でも、カメラで見ていたなら、どうしてトラップに引っかかったガルー――人狼を助けてあげなかったの?」
ジャムが言うと、博士は少しばかり苦い表情を浮かべて顎をしゃくる。
「そう、それなのだよ。G-09に設置していたカメラが急に壊れてしまってなぁ。音声だけは届いていたのだが、あの辺りに設置してあるカメラはあれ一台のみ……助けようにも助けられん状況でなあ」
「まあ、君達が来てくれて助かったようだ。よかったじゃないか! わしからも礼を言おう!」
何て軽いんだ、とエイジ達は博士の言葉に脱力した。
結果的にガルーは助かったものの、もしあのまま放置されたままだったら――。
(ねェ、ちょっと危ない人なンじゃない?)
(んー……悪い人ではないと思うけど)
(まあ、マジにやばいと思ったら何とかしてくれてただろ。きっとちゃちゃーっとお助け機械なんかつくって、助けてたって)
そういうことにしておこう、と三人は顔を見合わせ頷いた。

「あの、幽霊も博士が?」
「ホログラムでな。いやあ、あれだけ怖がってくれるとやりがいもあるなあ! あの杯に上等のぶどう酒以外のものを入れると、幽霊達が現れる仕組みなのだよ。杯に入ったものを成分解析してね。
つまり、君達は『赤き雫』の謎を解いただけではなく、持ってきたぶどう酒も上等のものであったということだ!」
ほら、このコンピュータで杯の中身を解析できるのだと、博士は大きなコンピュータのモニタを指し示しながら言った。
楽しげに説明を続ける博士。三人はどっと疲れが出た様子だった。
「あ」
ぐったりとしていたエイジだったが、彼は不意に思い立ったように口を開いた。
「それじゃあ、例の『若返りの水』ってのは博士の作り話なのか?」
すると、サイファ博士は顎をしゃくって不満そうな声で言った。
「君は、わしがそんな下らない嘘を流していると言いたいのか?」
「?」
「このわしの手と科学にかかれば、不可能なことは何もない!」
博士は言って、ポケットから小瓶を取り出した。
「最新鋭のコンピュータと生物工学を駆使してつくり上げた、これこそ科学の生み出した魔法の薬――『若返りの水』だよ」
博士の言葉にエイジ達は顔を見合わせ、それからまじまじと博士を見やった。


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