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ジャム・ジャム・ジャム
【SF その他小説】

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レッド・レッド・レッド-15

「詐欺だぜ、そんなの! 正しい道が分かるっつーからお前を頼りにしてるんだぜ!?」
「だからあくまで勘って言ってるじゃない! それに、今までこういう迷路での勘が外れたことは一度もないんだから!」
口論し出すエイジとジャムに挟まれ、ルーはおろおろと二人を交互に見やりながら、視線でダナに助けを求めた。
やれやれと彼は肩を竦めてから、二人の間に割って入る。
「こんなところで喧嘩しないでッ! 此処まで来たんだもの、ジャムを信じるしかないでしょ?」
「……分かったよ」
エイジは小さく息をついて頷いた。
彼はこの先の見えないダンジョンに、少々苛立っているようだった。
もっとも苛立っても仕方のないことは、彼自身でも分かっていたが。
「行くか! とっととこいつの相棒見つけて赤薔薇の奴らとっちめて、でもって婦警さんとデートするぜ!!」
エイジは半ばやけになったような様子で、声を張り上げた。
ジャムとダナはそんなエイジに、互いに苦笑を浮かべて肩を竦める。
その時だった。

「う゛う゛う゛ぅぅぅ……」
「「「「!?」」」」
不気味な唸り声。四人が一斉に身構えた。
一体、どこから聞こえるのだろうか。唸りは不気味に響いていた。
(……何だ、この声?)
エイジがひっそりとルーに訊ねる。
彼は首を横に振り、レイガンを手に震えていた。
(うう。此処だ、この辺りだ……)
(何だって?)
(此処らで兄貴――俺の相棒が突然姿を消したんだ! そしたら、次の瞬間同じような呻き声が……)
がたがたと震えるルーの肩を掴み、エイジは言った。
「安心しろ、絶対見つけてやるから」
そして改めて電灯で辺りを見回した。
前にも後ろにも、やはり何者の影もない。
「ッ」
「どうしたの?」
びくりと身体を強張らせ、電灯を揺らめかせたエイジにジャムが訊ねた。
エイジは冷汗をかきながら、鼻の頭に手をやる。
「びっくりした……水滴か何かが落ちてきたんだ」
そして電灯で手のひらを照らし――
「!?」
指の先に着いていた赤いそれを見てぞっとした。
エイジは慌てて電灯を真上に向ける。
「ルー!!」
「きゃああッ!!」
そこには逆さに吊られた人狼の姿――ルーの相棒、ガルーの姿があった。


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