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プリズム
【その他 官能小説】

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プリズム3 琢也陥落-1

琢也は先輩の玲子の部屋で熱心に言葉を交わしている。
玲子の考え方は本当に面白い、琢也がこれまで考えたことも無い人生感や恋愛感、社会感を持っていた。サークルの飲み会で隣り合わせになって以来、玲子と話しをするために部屋に通っている。最初は喫茶店や居酒屋で話していたが、男女で恋愛感や性について突き詰めた話をするには玲子の部屋が好都合だった。

玲子の考え方はシンプルだった。
生命の使命は遺伝子を後世に伝えること。その目的が発展し社会が生まれ、その目的が妨げられれば争いが起こる。また、遺伝子の求める多様性により発展的な行為が生まれてくる。自己実現から始まり過剰な物欲、支配欲に発展して行く。
感情や社会の法則は、種の保存と種の多様化を求める2つの遺伝子から生まれているというのだ。

琢也が特に興味を持ったのは玲子の恋愛感であった。
玲子は琢也に聞いた。彼女のことが好きなら、どうして彼女が好きなのか説明できるか。彼女が自分をどうして好きなのか説明できるか。そんなことを考えるのは無駄なような気がしたが、玲子と話ているといろんなことに思いあたる。

心と体は別なのか? 容姿は? 性格は? 玲子と話すと一つ一つ結論付けられる。

好きな理由を考えたときは面白かった。
付加価値だと思っていた経済力は遺伝子を増やす上で重要な要素であった。社会的地位や有名人であることも次世代の可能性を広げるためには有益な付加価値で、遺伝子が欲するものであることが分かった。

意外なのが容姿やスタイルについてであった。それを好きといっても一部のパーツだったり、センスや色合いや醸しだす雰囲気もある。もちろん魅力を発するものが個の遺伝子を残せる可能性が高い。しかしこれが遺伝子を残す上で重要な要素でない場合が多々ある。

玲子は、これは保存遺伝子と多様性遺伝子の2つが状況によってバランスを変えるのだと言う。例えば生き残りが難しい環境下では、家族を守り生き残れる男性しか魅力的に感じない。環境が安定していれば、男臭さの無い男性や、線が細くても美しい男性を好む女性も増えてくる。

更に安定し多様性が広がれば、ゲイやレズが増えることにより人類は同性生殖つまり同性での繁殖が可能になるかもしれないと言うのだ。

琢也は、玲子の考えをエリカに重ねて考えていた。玲子の考え方で全てを理解できるように思えるが、エリカだけは説明が付かない。琢也はある日、エリカの話を切り出した。

玲子はその告白に興味を持ち、エリカと琢也の一部始終を琢也に話させた。
エリカへの告白、秘部を押し付けられて達したこと、初めてのセックスは拘束して行ったこと、毎日のイマラチオ、舞との出来事。
玲子は、興奮するようすもなく、一つ一つ琢也に質問しながら時間を掛けて二人の関係を紐解いているようだった。話し始めてから10日後の今日、やっと全て話し終わった。

「もう隠していることはないわね?」
「刺激的なお話だったわ。琢也くんがそんな性生活をしているとは、誰も想像で きないわね。」
「そんな玲子さん。絶対に内緒ですよ。玲子さんだから話したんですからね。」
「大丈夫よ。こんなこと人に話したりできないわ。」
「それでエリカはどうなんでしょう。理解できますか?」

玲子はクスリと笑った。
「琢也くん。その前に・・・・」
「あなたはマゾね?それも真性のマゾよ!」

琢也は玲子の瞳に釘付けになった。猛禽類が獲物に向けるような鋭く、そして燃え上がるような熱気を帯びていた。琢也は目をそらすことさえできなかった。

玲子はこれまで女性を意識させることはなかった。しかしこの時の玲子は違っていた。女として獲物を狩りに来ている。そして今、玲子が琢也を捕らえる瞬間だった。琢也は玲子の鋭い爪に捕らえられ、その爪が深く体に食い込んで行くのを感じていた。


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