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プリズム
【その他 官能小説】

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プリズム-1

「琢也くん、一緒に帰ろう!」
振り向くと長い髪を揺らしながらエリカが駆けて来る。琢也はエリカのはじけるような笑顔に途惑った。琢也はエリカに告白し、ふられたばか
りなのだ。

エリカは小学校の同級生であった。琢也は聡明で誰にでも優しいエリカにその頃から憧れていた。中学生になると同時にエリカは父親の都合で
海外に移住していった。そのエリカが新学期に琢也の高校に編入してきたのだ。琢也はすぐに気がついて声を掛けたことで、よく話すように
なっていた。

エリカは背が高く、伸びた背筋が形の良い胸を反らしている。支える細いウエストとボリュームの有るヒップ、なだらかなラインで続く長い脚
はモデルでもそうはいないと思わせる。海外での華やかな生活がそうさせるのか、大きな目を隠すように細めて、輝く笑顔をいつも振りまいて
いた。

琢也も背が高くキリリとしたマスクに、似合わず優しいことで人気があった。バレンタインのチョコは2桁を越え、下級生の間でファンクラブ
があるとの噂もあった。

琢也がエリカに好意を持つまでに時間は掛からなかったが、琢也にとってもエリカの美貌には気後れがあった。エリカは回りの同級生からもア
イドルのように扱われていた。下級生の女の子からのファンレターも毎日のように届くエリカに、コクることなど許されない雰囲気があった。

そんなエリカに琢也は告白をしたのだ。ふられてホッとする思いもあったが、さすがに今はエリカに合わす顔が無い。

「ねえ、琢也くん!」
エリカは琢也の腕にしがみつくように琢也を引き止めた。
琢也は、カーッと赤面するのが分かった。
「琢也くん、昨日のこと気にしてるんだ?」
「って、エリカは平気なのかよ?」
「気にしな〜い!」

「でも、嬉しかったよ。」
「ふっといて良く言うよ。」

「エリカも琢也くんのこと好きだったし。」
「な、なに言ってんだよ。」

「本当だもん。もう少し早くコクってくれればよかったのに。」
「・・・・・ よ、よせよ。」

「傷ついてるんだ?」
「あたりまえだろ! 本当に、す・・・・・ 」

「何?」
「・・・・・・」

「琢也くん。考えたんだけど、付き合えないけどデートしたりするのはいいよ。」
「ねえ、これから二人で遊びに行かない?」
「おまえなに言ってんだよ?」
「だって、琢也くんが好きなんだもん!」

琢也は頭が真っ白になった。エリカへの思いを必死で振り払おうとしているのに、エリカを遠くに感じれば感じるほど募る思いを持て余してい
るというのに、俺は、俺は・・・・・。

琢也はエリカの手を掴み人気の無いビルに駆け込むと、エリカを抱きしめた。
「あ、琢也くん。」
エリカをどんなに強く抱きしめても、琢也の胸に空いた大きな穴は埋まらない。琢也の思いが涙となりエリカの頬に伝わった。どれほどの時間
であったのか、エリカは抱きしめられたまま、琢也の涙が止め処なく溢れ出るのを感じていた。


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