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「demande」
【女性向け 官能小説】

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「demande」<槙惣介>-4

「…事情はなんとなくわかりました。ですが…私もこのまま帰るわけには…」
「わかってるわ。あなたの立場もあるものね。だから…こうして謝ってるじゃない」

謝ったっけ!?
…やべーなー…こうゆうときはどうしたらいいんだ?
いや、でも…お嬢様の望みを叶えるって方針なら、帰ったほうがいいんじゃ…。

二人の間には重苦しい空気が漂ってしまい、惣介は今までにないピンチに頭を抱えた。
お嬢様に歓迎され、甘い時間を過ごし、帰るのを惜しまれるのが通常だったのに、
突然「呼んだのは私じゃないから帰れ」とは……。
でも、どんな形でもいいから自分が役にたてることを探すべきではないか。
このまま黙って帰ったら詐欺みたいなものだ…。demandeの評判を落としかねない。
皿洗いでも風呂掃除でも、何かの役に立てるのなら、帰るよりずっとマシだろう。

惣介の必死の思考を余所に、七香は一点を見つめたまま彼に近寄った。

「…ねえ」
「は、はい」
「……これってもしかして…グーズ・フェローのトランク?」
紅茶一式や本などがつまったトランクを指差し、七香は惣介に尋ねた。

「?そうです。よくご存知でいらっしゃいますね」
意外な質問だったが、これが突破口になるかも…と期待し、微笑んで彼女に答えた。

「ご存知も何も…創始者のトム・フェローは私の母の曾祖父なのよ」
「ええっ!?」
「今では入手困難なのに…どうしてあなたがこれを?」

どうしてって言われても…
要さんにトランクの経緯なんて教わらなかったし…
そもそもそんなに有名なモノだなんて聞いてないけど…。

「…当館のチーフより預かった品ですので…詳しい入手経路などは存じ上げませんが…、
私たちは皆、このトランクを使用するよう言われてまして…」

「皆?…って…何人いるのよ」
「6名でございますが…」
「6人ってことは…6つもあるの!?」
「…はい」

七香の表情は驚きから怒りへと変わり、元々苛立っていた状態をヒートアップさせた。

「…あなた方にこのトランクの価値がわかるとは思えないわね。
どうせお金にモノを言わせて揃えたんでしょうけど、ホストなんかが6つも手にしてると知ったら
先祖も泣くわ。いくらで買ったの?私がその倍の値段で買い取らせてもらうわ」



ほ……ホストだと!?

未だかつてそんな言われかたしたことねーぞ!!
ちゃんと紳士的に振舞ってるじゃん!
それに、金にモノ言わせてるのはどっちだよ!

方やトランクについての怒り。方やホスト呼ばわりされたことへの怒りで、
状況はますます悪化していくのであった。

ぐっ……。顔には出すな。
俺はあくまでdemandeの人間だ!

突っかかってしまいそうな言葉を飲み、さりげなく深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。


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