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「demande」
【女性向け 官能小説】

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「demande」<高崎要>-1

執事とは―――

お嬢様の要求のままに行動するべきである。


<三橋ちとせ の場合>

両親が用意してくれた真紅の振袖を纏い、晴れて成人式を迎えた彼女は、久しぶりに会えた昔の友人と記念写真を撮っていた。
懐かしい面々は、やはり数段大人になっていて、同じ年であっても彼女はとても幼く見えた。

「ちとせって本当に変わらない。まだ高校生みたい」

そう言った彼女は、ちとせと中学時代に仲がよかった一人だ。
旧姓 三浦美貴 
もう結婚・出産を経験している彼女から見れば、ちとせが少女に見えても仕方ないだろう。

「美貴が早すぎ。私はゆっくりでいいの」

本人にとって気にしていることだったらしく、ちとせは少し眉をひそめた。

「そんなこと言って〜。本当はまだ彼氏もできなくて焦ってんじゃないの〜?」

……。
言われたことは図星だった。
大学に入れば、出会いなど当たり前のようにあると思っていた。
他の子はどんどん男の子と親しくなり、彼氏を作っているのに対し、ちとせは会話もロクにできない状態でいた。
人数合わせの合コンに参加したときも、会話がもたず、名前すら覚えてもらったかどうかわからない。
彼女のおとなしい雰囲気と奥ゆかしさが、今どきの男の子たちにとって、どう接していいのかわからないといった状態だろう。ちとせには「清楚」「可憐」といった言葉がぴったりなのだ。なぜか今のところ、裏目に出てしまっている。

「彼氏、ほしいんでしょ?」

からかっていた美貴も、ちとせの表情を読み取ってか、「悩み」なんだと気づいてからかうのをやめた。

「…欲しがって手に入れるものじゃないよ。そのうちいい人がいたら…ね」

ちとせの半ば諦めたような言葉に、美貴は呆れてしまった。

「そのうち なんて言ってたら、おいしい時期を逃すだけだよ!」

「おいしい時期?」

「そう。女はこの時期が一番旬なの!」

「な、なに言い出すのよ」

「今まで彼氏がいないってことは、まだ未経験ってことでしょう?」

場所が場所なだけに、美貴も言葉を選ぶ。

「そ、それは…彼氏が欲しいのと関係ないよ」

「まさか本気で言ってるの?この年になって性欲がないなんてどっかおかしいわよ」

「…ないなんて言わないけど…でも、好きな人としたいの!…特に最初は」

ふぅ…と美貴がため息をつく。

「気持ちはわかるけど、自分から行動しなきゃ、あっという間に若さはなくなるんだよ?言ったでしょ?おいしい時期が過ぎていくの。」

「だからって…誰でもいいから相手してなんて言えるわけないよ。……言いたくもないし」

ちとせみたいなタイプは…案外夢見がちなところがあるのだろう。男性は紳士であるべきだ、とか。

「紳士…」

美貴は自分で言って思い出した。

―――あれなら丁度いいかも。


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