投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

飃(つむじ)の啼く……
【ファンタジー 官能小説】

飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 524 飃(つむじ)の啼く…… 526 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

Stormcloud-22

「あぁっ…!」

押し広げて入ってくる異物を、彼の本能が拒み、体が受け入れる。ベッドについた手足に力が入らない…一突きごとに情けなく身体を揺らす彼の腰を、冷たい手がしっかり捉えた。自らが達するまで、何回でも何分でも、そうして腰を打ち付ける。

「愛してるぜェ、七番…」

戯れに口にする台詞。嘘でしかないと知っていながら、耳元で囁かれるその言葉に体のどこかが悦んでいる。

「お前が殺し続ける限り…お前がオレの役に立つ限り、オレはお前の事が大好きだよ…」

彼の台詞を邪魔しないために、口の中に突っ込まれていた指が、引き抜かれて糸を引く。

「っ…いヤ、だ…!」

その指が、どこへ行くのか知っている。力加減を知らない指が、ギュッと掴んで、擦る。下半身が中の異物の形を写し取れるほどに締まる。

「ヤ、じゃねえんだよ感じてんだろォが!」

嘲る様な笑い声が、暗くうつろな子供部屋に響く。

―嫌だ。

尻を、背中を打たれる。シーツを掴む指にも、もう力が入らない。

「御免なさい、擾…っ」

―嫌だ嫌だ嫌だ。

痛い、体中が痛い。握られたものも、打たれた背中も、擦られる内壁も…そして、自分のつめが深くつきたてられた手のひらも。

「も、駄目…許して…!」

加速する腰の動き。嬌声がそれに合わせて震える。

―もうしないから。もう的を外したりしない。止めを刺し損ねたりしない。口答えしない。血を怖がったりしない。泣いたりしない。いい子にする…いい子にするから…

朦朧とする意識を許さぬ金気臭い匂いが鼻腔を突き刺した。生暖かい、嗅ぎ覚えのある匂い。そう、記憶と直接結びついてしまうほどに。

『いたい よう なな ばん。

おまえ に やられ た せなかの きずが。』

―御免なさい…許して…

蛇のように纏わり付く、沢山の今際の声。いや…今際の声であるはずが無い。彼らは既に死んでいるのだから。死んだ彼らが、蛇のように連なって、神立の身体を締め付ける。

いたい、いたいよと、泣きながら。

『おまえ に ころされた。 おまえ が ころした』

―好きでやったんじゃない…殺さなきゃ、僕が殺されていたんだ…

『いや ちがう いいや 違う!!』

蛇の頭が、耳の奥にぐいぐいと入り込んでくる。闇にからみとられた手足が例え動いても、頭の中に入り込んだ蛇の言葉を、塞ぐことなどできない。

『おまえは 楽しんでいたとも 神立。』

―違う、僕は…

やがて嘲笑が、肌を這いずり回る悪寒のように空気を埋め尽くす。

神立は息が出来なくて、ひたすらにもがく。暗闇の中、服も着ずに、声も出ず、耳も聞こえず…ただ、頭の中では…


飃(つむじ)の啼く……の最初へ 飃(つむじ)の啼く…… 524 飃(つむじ)の啼く…… 526 飃(つむじ)の啼く……の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前