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Life
【初恋 恋愛小説】

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続・Life-2

―ふわり

おばあちゃんの手が私の頭に乗せられた。微かに温かい。
『ねぇ、たかちゃん…何故人は言葉を持つのだと思う?』
私は「分からない」と言うように首を振った。
『おばあちゃんはね、思いを伝える為だと思うの』
私を覗き込む祖母。
『言葉を持つのは人間だけ。好きだと言えるのも人間だけ。ね?せっかく人に生まれたんだもの、特権は使わなくちゃ』
…特権…。アイツもそう言っていたっけ…。
『大丈夫、自信を持って正面からぶつかって行きなさい。おばあちゃんはずっと空から見ているから…』
祖母の姿が薄くなっていく。
「おばあちゃん!」
手を伸ばす。触れられない…。柔らかに笑い、祖母は言った。
『違うでしょう、たかちゃんが追い掛けるべき人はもうおばあちゃんじゃないわ…』
突然パアッとまばゆい光。目を細める私。

―たかちゃん、大好きよ

光が強くなった。私は耐えられず目を閉じる。…と、光がやんだ。
目を開ける。教室。みんなが机にかじりついていた。

窓を見る。相変わらず舞う雪。
ねぇ、おばあちゃん。私見たよ。背中についた白い羽。おばあちゃん天使になったんだね。この雪は、おばあちゃんの羽なんでしょう?
ありがとう
ありがとう、おばあちゃん―…

テストは午前中で終わる。帰りの支度をし、教室を後にするクラスメート。私も教室を出た。荷物を机に置いたまま。

―タンタンタン…

階段をあがる。向かう先は屋上。
扉を開けると、そこはうっすら雪が積もって白くなっていた。お昼は弁当を食べる人でいっぱいになるのに今は誰も居ない。
私はゆっくり柵に近づく。鉄で出来た柵は、触るとひんやり冷たい。空を見上げる。雪はもう止んでいた。
―ふう…
吐く息が白く染まった。
「…おばあちゃん、私、頑張るから…」
その言葉が届いたのかが分からないけれど、ひとひらだけ雪が舞い降りてきた。
ゆっくり、私に向かって。
そっと手を伸ばし、その雪を取ろうとする。

―サァ…ッ

「あっ…」
突然の風。雪はその風に乗って私の手を逃れていく。

ふわりふわり…

目で追う私。雪は少しずつ地上へ近づいていく。
「…え…?」
私は雪がどこに向かっているか気付いて思わず声をあげた。
グランドを歩く人が一人。分からない訳が無い。
「谷崎…」
こっちは裏門なのに、どうして…。
ふわり、と雪が谷崎の前へ降りていく。谷崎がふと足を止め、手を伸ばして雪を取った。
祖母が「頑張れ」と言っているようだった―…


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