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万華
【SM 官能小説】

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万華(その3)-4

僕はゆっくりとその艶やかなハイヒールの爪先に唇を寄せた。
 どこか生温かい女の肌のような感触がその爪先から僕の唇に伝わるようだった。そしてゆっく
りとそのハイヒールの側面から細い足首に頬を這わせる。その脚のくるぶしから滑らかに伸びた
柔らかいふくらはぎに僕は頬をすり寄せていく。そのストッキングの下からは、女の体液が凝縮
されたような匂いさえ発しているようだった。
「誰が私の脚に触れていいといったかしら…」  
突然、燿子は冷徹な撫でるような声で言った。
「いいと言うまで、私のハイヒールをしっかりその舌できれいにするのよ」
僕は舌を尖らせ、まるで犬のように丹念に燿子のハイヒールを愛撫した。時に小刻みに舌を震
わせ、女の素肌を愛撫するかのように、ヒールの先まで舐めまわす。いつもの淫猥な痺れたよう
な情感が少しずつ沸き上がってくると、僕の男根が少しだけ亀頭を持ち上げてくるのだった。
 
「なによ…その舐め方は…下手ね」
 嘲笑うように燿子の爪先が僕の頬をつつく。僕は一瞬、体を悶えさせ、燿子のヒールの爪先を
ねっとりと口含みながら唇で執拗に舐めまわす。
「ほら、お尻を振って、もっと嬉しそうに舐めるのよ…」
 僕は床に頬をすり寄せるようにして、床に着いたもう片方のハイヒールの先に舌を寄せ、燿子
に言われるがままに高く持ち上げた臀部をくなくなとよじらせた。
「まるで、白豚みたいなお尻ね…アキラさん」と、燿子はどこまでも卑猥に厭らしく言った。
 そのハイヒールがまるで燿子の肉体の一部のように、僕はその表面を悩ましくしゃぶり続けた。

 僕が女たちのハイヒールの中から漂う脚の臭いに、自分のペ○スを屹立し始めたのはいつ頃か
らだろうか。僕は喬史さんが死んでから、嗜虐の匂いを持つ女たちに嬲られることで性欲を満た
してきた。女たちもまた僕の肉体に煽り立てられるように肉情に駆られていった。
 プライドの高い中年の女教授、高級料亭の女将、資産家の老未亡人…僕が自分の体を捧げたの
はそんな女たちが多かった。
 体に寂しさを持った女たちの膣肉の乾いた粘膜は、僕が彼女たちの脚先にひれ伏し、脚や垂れ
た尻肉を奴隷のように愛撫してやることで、まるで邪鬼にとりつかれたようにその甘美な肉情の
疼きと潤みを再び取り戻すのだった。
 女たちは、忘れ去られた性の淡い肉欲を閉じた子宮の奥から、蛇の鎌首のようにもたげ、再び
蠢かせ始める。それは僕の生白い肉と甘い精液の臭いに群がる雌豚たちだった。
 僕がそんな女たちの肉体に欲情を感じるのではなく、女たちが僕の肉体の何かにとりつかれた
ように纏わりつき、しだいに酔いしれるのだった。僕の肌に鞭を振うことによって性欲にまみれ、
嗜虐の嬌声をあげる女たちを嘲るように、僕自身が自分の中に自虐的なナルシズムを感じていた
のだった。
 僕は自分の体を傷つけて欲しかったのだ…もっと深く…。深く痛めつけられるほどに僕の体は
その内面からその美しさを増していくのだから。

                                            
 燿子は、その美しく組んだ脚をゆっくり戻し、股間を僕の前に大きく開いた。
 むっちりとした白い肌をした太腿の間の源には、ふっくらと盛り上がった秘丘が薄い透けた黒
いショーツに包まれている。燿子の漆黒の繁みと深い秘裂が、そのショーツにほどこされた黒い
刺繍と折り重なる。それはまるで僕の欲情を誘い込むように薄いベールに包まれ、神秘的な淫淵
さえ感じさせた。
 やがて燿子の秘裂の奥の幾重にも重なる深い肉襞は、僕の体を嬲る嗜虐の快感によってぬるぬ
ると淫蜜で潤っていくのだ。


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