投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

Life
【初恋 恋愛小説】

Lifeの最初へ Life 3 Life 5 Lifeの最後へ

Life-4

「宇祢」

ハッと振り返る。
「と…じゃなくて、朔真」
おう、と横に並ぶ奴。
「部活は?」
「今日はナシ」
へー、珍しい。それにしても今日はよく一緒になるな。
「…なぁ」
朔真が言った。
「お前、仄と仲いいんだな」
「そんな訳じゃないけど」
私は苦笑する。周りからだとそう見えるのか、気をつけよう。女子に勘違いされたらややこしいもん。
「…でも、楽しそうに笑ってたじゃねーか」
怒ったような口調。どうしたんだろう。
「そりゃ…私だって笑うくらいするよ」
一応人間だし…。
「でも、俺といたら、あんなに…」
?何?
「…あー!ごめんっ」
髪をぐちゃぐちゃにする朔真。
「俺変なこと言ってる、ごめん、忘れて」
顔、真っ赤だ。そんな焦ることないのに。またしても苦笑する私。
「朔真、今日おかしい」
「うるせー…」
朔真はそっぽを向いた。
「…でも」
視線を逸らしたまま、朔真が言う。
「宇祢の方が変じゃねーか…」
…え?
「小学校からえらく変わった。あんな明るかったのに、お前…」
ドキッ。思わず動揺してしまう。
「人懐っこかったのが全く逆じゃねーか。口数も減ったし」
「そ、そりゃ5年もたてば変わるよ」
「いや、」
キッパリと朔真が言った。
「今更のことじゃない。中学…そう、二年なるくらいから掌を返したように」
足が震えてくるのが分かる。
思い出したくない…横たわる細く、白い身体。優しい瞳は堅く閉ざされ、二度と私を見ることはなかった。私の名を呼ぶことも…

―ヤメテ ヤメテ ヤメテ

思い出したくない。
あんな姿、思い出したくない!
「ごめん、朔真。私ちょっと寄るとこあるから…」
「えっ、おい!」
一方的に別れを告げると、私は全速力で走った。嫌な光景を忘れたくて、息がめちくちゃに切れるまで―…

目的地があったわけじゃなかった。だけど私、いつの間にかそこに立っていた。
私の町から電車に乗って2駅。ちゃんとお金払って乗ってきたんだろうけど記憶がない。
大きな川にかかる橋の上。山の麓なので周りはほとんど木ばかり。あの人とよく来た場所。ここから見える夕焼けが大好きだと笑っていたっけ

…おばあちゃん


幼い頃から私はおばあちゃん子だった。両親は共働きなうえに一人っ子だったの
で、いつも一緒に居てくれた祖母が世界一好きだったのだ。
ずっと一緒だと思っていた。
ずっとその日々が続くと思っていた―…

中学一年の10月。体調が悪いので、大事を取って祖母が入院した。病院の白いベッドで横になっている祖母は、なんだかとても小さく見えた。
「たかちゃん、なに泣きそうな顔してるの。おばあちゃんは無敵だって知っているでしょう」
祖母は私が会いに行くたびにそう笑っていた。
でも、もう自分の死期が近いことをおばあちゃんは知っていたんだ。知らなかったのは私だけだった。


Lifeの最初へ Life 3 Life 5 Lifeの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前