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Life
【初恋 恋愛小説】

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Life-2

下校時刻。私は部活はしていないのだけど、たまたま今日は図書館で本を読み耽っていたために遅くなってしまった。
下校を促す放送を背に、、私は学校を後にする。真っ暗。もう11月下旬だものな。
自然と視線が上へいく。足が止まる。
瞬く星々。私を見下ろす。
「あーっ!」
突然の叫び声。?なんだろう?思った途端…

― ばしんっ

「い…った…」
背中に何かが当たった。
「すまんっ、大丈夫か!?…って松浪?」
この声は…。私は振り返り言う。
「私になんの恨みがあんのよ…」

「いやー縁あるなー」
私の横を谷崎が歩く。私は無言だ。
「あ、狙ったんちゃうよ?昼もさっきも偶然や」
じゃないとさすがに怒るってば。
「なんで靴投げてたの」
さっき私に当たったのは彼の靴だったのだ。私の言葉に彼はニコッと笑って答えた。
「天気、占ってたん」
天気?…ああ…
「『あーした天気になーあれ』?」
私が歌うと、彼は更に嬉しそうに笑った。
「そうや、それ」
懐かしいなー、いつの頃からしていないだろう。
「松浪は?何してたん?道の真ん中突っ立って」
「空見てた」
サラリと答える。へ、って顔する谷崎。
「笑いたきゃ笑えば」
そーゆーことには慣れてた。私、ちょっと変わってるから。
「や、笑わへんよ」
いつになく真面目に言うので、私は思わず彼を見た。
「俺、こう見えて哲学者やねん」
「っは!」
思わず吹き出す私。やばっ、お腹イタイ。
「なんで笑うん」
きょとん、として奴は私を見ている。
「だって、あはっ、真面目な顔で『哲学者やねん』て…っあははは」
久しぶりに心から笑ったせいか、暫く笑いが止まらなかった。

「ごめん、谷崎は笑わないでいてくれたのに」
落ち着いてから私は言った。ホント、土下座する思いである。
「ええよ」
谷崎は嫌な顔一つせず微笑む。大人〜。
「にしても以外やわぁ」
「え?」
何のことだろう。
「松浪て普通に笑うんやな」
「はい?」
「すごい硬い人や思てた」
まあ、そう思われても仕方ないかも。笑うことなんて滅多にないし、笑っても愛想笑いだし。
「それによう喋るやん」
柔らかく笑う谷崎。
「学校であんま喋るとこ見ぃひんから」
確かに。
「話、嫌いなん?」
「そんなんじゃないけど…」
「けど?」
私は黙る。そう、嫌いな訳じゃない。だけど…
「あーすまんっ」
谷崎は額を押さえて空を仰いだ。
「言わんでええ、言いとーない事は」
ごめん、と私は俯く。
「けど、俺とならまたこんな風に喋ってくれんの?」
谷崎は無邪気な瞳で私を見た。
「…いいよ」
ああ、私の馬鹿。
でも嫌々じゃない。奴との話は何だかほっとした。私も哲学者の仲間入りか?

翌朝、私はいつも通りに家を出た。私の高校は歩いて30分の所にある。自転車の方が便利だが、健康の為に歩いて通っている。「健康の為」なんて、なんか老人みたい。
いつも通り道を歩く。いつも通り歩道橋を駆け上がり、いつも通り信号無視(いけません)をして。
「松浪ー」
これもいつも通り…じゃないし!
振り返る。常盤が自転車で追いついてきた。
「おはよ」
「おはよう…」
正直驚いた。最近…いやいや、それどころか小学校以来まともに話していない。
ええと…5年ぶり?
「学校まで、一緒、いい?」
断る理由もない。私は頷く。常盤は自転車を降りて、私にあわせて歩き出した。


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