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桜が咲く頃
【ファンタジー 恋愛小説】

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桜が咲く頃〜心〜-2

その内容とは

『実はこの間、ある娘さんに告白されて、俺は断ったんだけど、これがなかなか…』
矮助はため息を一つついて続ける。
『正直に好きな人がいるって言ったら、今度の祭りの日に連れて来いって言うんだ。
俺の好きな人を見たら諦めるからって…
頼む!女物の服を着て、俺と祭りに行ってくれ!!』
っと手をあわせ、頼み込む矮助。

『だからって何で俺なんだ?
その、お前の好きなやつを連れて行けばいいだろう』
不機嫌な鈴。

『ばっ…!』
一気に顔が赤くなる矮助。
矮助は、[お前だよ!]っと言いたいのを我慢し、
『とにかく、頼んだからな!』
と言い、部屋を出て行った。

残された鈴は、もやもやした気持ちのまま祭りの日を迎えた。



(鈴が祭りに行ってくれるのはいいが、一体誰が着付けをするかが問題だ。
俺は出来ないし、誰かに頼むのもなんだし…)

矮助は鈴に、街で自分が買って来た女物の服を渡しながら、どうしたものか考えていると

『入るなよ』
服を受け取ると鈴は部屋に入り、障子を閉めた。

『え?着付け…』

まさか、鈴自身が出来ようとは、思ってもみなかった。

(やっぱり鈴は女の子なんだなぁ)
などと矮助は腕を組み、うんうんと頷いた。


着替えつつ鈴は
(何でこんな格好…)
と、うちひしがれていた。


(もうそろそろいいかな?)
矮助は部屋にいる鈴に声をかける。
『入るぞ〜』

『…ああ』
小さな返事が返ってきた。

矮助はそろそろ〜と障子を開けた。
鈴は背を向けて座っている。

『鈴?』
矮助がそっと呼ぶと、鈴はゆっくり振り返り…

矮助は息を飲んだ。

いつも髪を後ろで一つに縛り、男装している鈴が、女物の服を着て、髪を下ろしている。
それだけで…

(かっ可愛い!!)

矮助はくるっと鈴に背を向け、障子に片手をつき、もう片手で鼻を押さえる。

(可愛すぎる!!)
鼻血が出そうになった。

『おい、これでいいのか?』
鈴はむすっとして聞く。

矮助は振り返り
『完っ璧!』
にっと笑った。


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