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桜が咲く頃
【ファンタジー 恋愛小説】

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桜が咲く前-5

小春はしばしの沈黙の後、とびっきりの笑顔を作ると

『さぁ、覚えていませんわぁ』

『え?』
予想外の返答に矮助は固まってしまう。

『わたくし、これから出掛けなければいけませんの。
ごめんあそばせ』
そう言うと、小春はずんずんと自室に戻って行った。

(何よ…
正式に付き合うことになったから、それの報告!?
それとも、結婚報告!?
どちらにしろ私にはちっとも嬉しくないわ!!
私は今、人の幸せなんか聞きたくないのよ!
さっさと帰ってちょうだい!!)
矮助の話を最後まで聞かず、勝手に勘違いをし、自室で大暴れの小春。


取り残された矮助は、ただ呆然とするより、ほかなかった……



それから暫くし
『お助け下さい、お侍様!!』
相変わらず、同じことをしている小春。

『変な人達に追われ…』
そう言って顔を上げた小春。
心臓が小さく脈打った。

小春の恋が、これから始まる…?


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