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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 17-1

喫煙所で一服すると、俺はリハビリ室に戻る。
世界が段々と落ち着きを見せても、タバコはやめられなかった。

「アキ、奏はどうだ?」
リハビリ室の前で、俺が後ろから声をかけると、アキは自販機の前でしゃがんだまま答えた。
「ん、すっかり鈍っちゃってるけど大丈夫。近いうち歩けるようになりそうね」
「…リハビリをなめちゃいけないんじゃなかったのか?」
前に軽口を叩いて怒られたのを思い出して、俺は反撃してみた。
「これは軽口じゃないわよ。ほら、見てごらん」
「…」
ガラスの向こうでは、手すりに手を着きながらも足をしっかりと動かしている奏の姿があった。
あれで手を放すとどうなるのだろうか。
普通に俺達と変わらず、今にも歩き出しそうだ。

「お疲れ様、今日はこれくらいにしようか」
アキは先ほど購入したスポーツドリンクを奏に手渡す。
「あ、ありがとうございます」
「水分はしっかりとらないとね」
「はいっ」
奏は早速、蓋を開けてこくこくと喉を鳴らしている。
「奏、お疲れ」
「は、春陽さん、お帰りなさい」
奏は勢いよく飲んでいる所を見られたのが恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして返事をした。
「ラブラブねー」
アキがじとっとした目つきで俺達を見る。
「なんだよその目は…」
「はいっ!ラブラブです!」
「…あらま」
「かなっ!?」
情けない声が出た。
えへへ、と笑いながら俺の上着の裾を掴む。


もう俺達の気持ちに変わりはなかった。

早く奏と付き合いたい。

俺は少しでも早く、奏が完治するのを願っていた。


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