愛を囁くよりも先に…金澤純の秘め事…-5
「加藤さんから聞きました…社長のこと慰めてたって。俺は何があったか知らないけど、加藤さんも、俺も…そんな相手にしないで。きちんと口に出して下さい。
我慢してたんですよね、きっと。体をつなげることで、自分の口から出そうになる気持ちを我慢してたんですよね？」
あたしの目からは涙が溢れる。
「うっ…三沢っ…」
三沢の体を抱きしめて、きつく抱きしめて。
泣くことしかできなかった。
あたしがこんな風に泣くなんて、美緒と初めてした時以来だと思う。
いくら泣いても、あたしは変わらないって思ってたから、それ以来泣こうとしなかった。
美緒があたしを慰めても、自分の気持ちは変わらないだろうって。
でも、違うの。
あたしが変わろうとしなかっただけ。
――あたしは結局、みんなを傷つけてたのに気づこうとしなかったから。