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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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恋人達の悩み5 〜MEMORIAL BIRTHDAY〜-10

 美弥はプレゼントされたリングを明かりにかざし、しげしげと眺めていた。
 小粒だが良質なサファイアとダイヤモンドが、部屋の明かりを受けてキラキラと輝いている。
 ――ここは、龍之介の部屋。
 プレゼントを奮発した龍之介はさらに覚悟と奮発をして豪華なデートに行こうとしたが、美弥が『もう慣れないとこはヤ』と一蹴したため、結局いつも通りに部屋でのんびりデートをしていた。
 まあ、安上がりな話である。
「…………あ。そう、か……」
 何でこんなに誕生日プレゼントを奮発したのかと思っていたが、ようやく理由が分かった。
「一体何が『そうか』なのさ?」
 風呂から上がって来た龍之介が、不思議そうな顔をする。
「ん?もうすぐ、付き合い始めて一年になるんだなって」
 美弥の答えに、龍之介は喉を詰まらせた。
「だから誕生日プレゼント、奮発したんでしょ?」
「ん、まぁ……」
 龍之介はもごもごと口を動かし、そっぽを向いてしまう。
「誕生日と一周年記念日を一緒にする気はないんだけど……」
 美弥はくすくす笑った。
「近いんだから、仕方ないね。あ〜……でも、もう一年かぁ。早〜い!」
 リングを枕元へ置き、美弥はベッドに寝転がる。
 龍之介の匂いが、いつも通りに美弥を包み込んだ。
「ほんとに……早いなぁ……一年、あっという間だった」
「ん」
 同意して、龍之介はベッドの縁に腰掛ける。
 寝転がっている美弥の手に、自分の指を絡ませた。
「あ……お風呂、入って来るね」
 絡んだ指を優しく振りほどき、美弥は立ち上がる。
 そろそろと言わんばかりにムード作りを始めた龍之介は、がっくりつんのめった。
 ――美弥が入浴を済ませて部屋に戻ると、ベッドに寝そべった龍之介がふてている。
「りゅーうのーすけっ」
 美弥は龍之介の腰の上に跨がった。
「ご機嫌直して〜。サービスしちゃうから」
 それを聞いた龍之介は、慌てて起きようとする。
 だが上には美弥が跨がっているので、もがくだけに終わった。
 いくら龍之介に筋力があっても、うつ伏せに寝そべっているこの体勢から美弥の『ピー』キロある肉体を撥ね除けるのは、少し難しい。
「いやあの、今晩サービスするのは僕の方でしょおっ?」
 声を上擦らせる龍之介へ、美弥はにっこり笑いかける。
「だってご機嫌が直んないんだも〜ん」
「分かった!直った直った直った〜っ!」
 龍之介が叫ぶと、美弥はようやく上からどいた。
「っとに……敵わないよなぁ」
 どいた美弥を龍之介は引き寄せ、抱き締める。
「あ……」
 逞しい腕や厚い胸板、優しさと愛情に溢れているくせに大胆な、愛撫の手。
 一年経っても、それらが変わる事はない。
 そしてそれは、これからも。
「りゅう……」
「ん?」
 龍之介は、美弥の額にキスを落とした。
「……愛してる、から。今までも、これからも。ずっと……」

 ぎゅ……

 自分を抱き締めている手に、力が籠る。
「僕もだよ、美弥。ずっと、愛してる」
「……うん」
 美弥は体を動かし、龍之介の唇を求めた。
 龍之介はそれに応え、たっぷりとキスをする。
 何度も唇を触れさせていると堪えられなくなったのか、美弥の方から舌を伸ばして来た。
 それに応え、龍之介は積極的に舌を絡め始める。
 ――美弥の積極性が、龍之介は嫌いではない。
 もしも他の女性からこんな真似をされれば、全身にジンマシンを出しながら悲鳴を上げて逃げ出すだろうが。
 どうして美弥ならば全て受け入れる事ができるのか、自分で自分が不思議である。
 だがこうして心も体も愛しむ事を美弥が許し、腕の中で鳴いてくれる限り、そんな物は些細な事のように思われた。
「愛しているよ、美弥」
 互いに服を脱ぎつつ脱がしつつ、龍之介は耳元にそう囁く。
「これからもずっと、愛してる」
 何度も『愛してる』と囁きつつ、龍之介はぺろりと耳を舐めた。
「っふ……!」
 続けざまの『愛してる』で耳を十分に刺激されていた美弥は、思わず声を漏らす。
「あ……ん……」

 ぴちゃっ……

 龍之介の舌が左耳をねぶり始めると、美弥は龍之介の二の腕を掴んだ。
「あン……あっ、あっ……!」
 右耳は、指先が弄ぶ。
「っふ……あ、あ、はぁ……っ!」
 耳の同時攻めに、美弥は熱い声を上げた。
 龍之介は美弥の顔をひっくり返し、右耳を舌で、左耳を指先で愛撫する。


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