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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 12-4

***

「兄貴、起きて」
「…ん、ああ」
俺はゆっくりと起き上がる。
部屋にはいい匂いが充満していた。

「二人でお粥作ったんだけど、食べれる?」
「本当か、助かる」
実は昨日の夜から何も食べていない。
体はだるいが、食欲はあるようだ。
布団から這い出てテーブルの前に座る。
「そういえば兄貴、自分のベッドで寝てないんだね」
「あー、寝室から移動するのがだるいからな。ここに布団敷いてれば冷蔵庫もトイレも玄関も近いし」
「そっか。あ、奏、あたしが持つよ」
「ありがとう」
本当にこの二人は仲良しになったな。
二人を引き合わせて本当によかった。
そんなことを考えていると、テーブルにはお粥の入った土鍋が乗った。
「おー」
すごくうまそうだ。
「奏、そこの小皿取って」
「はい」
美沙は奏から底の深い皿を受け取り、黙ってよそってくれた。
二人で暮らしているときは、なんかこうやって気をきかせてくれたんだよな、美沙は。
「はいどうぞ」
「ありがとな」
「熱いですから気をつけてください」
奏も笑顔で言う。
「ん、いただきます」
まあ、そうは言われても空腹だし、うまそうな匂いに誘われて大口を開けて頬張る。
「んあっちい!」
「ふふ」
「もー!奏が言ったじゃん!ほらかして?」
美沙が皿とれんげを俺から奪う。
「あ、ああ」


まさかこれは…


お兄ちゃん、冷ましてあげるね?ふぅー、ふぅー、はい、あーん…


おおおおおおおおおお!

「…なんてすると思った?」
美沙のやつ…妹の勘で俺の心を読んだか?
「はい奏、パス」
「ふええっ?」
予想外の事態にたじろく奏。
「ほら、冷ましてあげなさい」
美沙はにやにやしながら言う。

こ、これはこれでドキドキするな。

「ふ…ぅー…ふ…ぅー」
「いや息かかってないから!」
奏は顔を真っ赤にして息を吹きかけたが無意味に終わる。
すると、コホン、と咳払い。
「お…お…お兄ちゃ…ん…はい、あーん」


奏も心を読めるのか!!



「んあっちい!」


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