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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第十章』-6

「なっ…!」
「寒いのよ。いいでしょ?」
「まぁ…いいけど」
素直になれず、うつむく。手を繋いで帰る道は、何故かいつもと違う気がする。
繋いだ左手が、熱を持ったように熱い。
「姉貴…あのさ…」
「なに?」
「あ、いや…雪…綺麗だな」
姉貴は微笑んだ。
「そだね」
姉貴は空を見上げた。
「秋冬の季節だね」
「名前に冬がはいってるから?」
「馬鹿みたいかな?」
姉貴がオレを見た。
やばい。可愛過ぎてやばい。
「いや、オレらそういう名前じゃん」
「あはは。ふざけてるよね」
なに自虐してんだ?
まぁ確かにふざけた名前だけどな。
「小学生んときは、名前呼ぶたびに双子なんだって思い直したりな」
「思い直す…?」
「あー、多分そのときから…」
頭をガシガシと書いた。
「姉貴のこと、好きだったのかもしれない」
だめだ。もう顔見れない。オレは何を言ってんだ。
「…そっか…」
姉貴が呟いた。
声色は、どうもすぐれないようだ。
「もう…諦められない?私のこと…」
「…あぁ、多分…な」
姉貴はため息を吐いた。
「…ったく…どうやってお母さん達に隠せばいいのよ…」
「…は?」
「は?じゃないわよ。秋冬が私のこと好きだってこと、私が秋冬のこと好きになってること、どうやって隠せばいいの?」
「好きに…なってる?」
「さっきから正直に好きだって言われて、揺らがないわけないじゃん」
姉貴は苦しそうに微笑んだ。
「だめなんだ、私。そういうの。もう姉弟愛、超えちゃった」
姉貴は立ち止まり、オレを見た。その瞳は、とてもまっすぐで綺麗だ。
「きっと私達は、人間的に惹かれあうのね」
涙目になって、姉貴が言った。
「でも私は秋冬と、姉弟を本当に超えるつもりはないから」
今までで一番真面目な顔を見せた。
「手ぇ出させるつもり、ないから」
オレは苦笑した。
「それでもいいなら、私を愛して?」
姉貴を抱き締めて、呟いた。
「〜〜〜〜〜っ!姉貴…!」
「はぁるぅかぁ」
「あっ、は、春夏っ」
「キモい」
「あ、ごめん」
姉貴を離した。
「…一生…愛させてくれ」
姉貴は笑った。今までで一番まぶしい笑顔だ。
「いーよ」
それからオレ達は、手を繋いだまま家に帰った。


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