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シスコン
【コメディ 恋愛小説】

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シスコン『第十章』-2


「おはよ」
リビングに行くと、姉貴がいた。早いな。
「…おはよ」
冷蔵庫を開ける。
牛乳を出して、コップを二つ置いた。
「姉貴、牛乳でいいよな?」
姉貴の回し蹴りがオレの側頭部に綺麗に決まった。
「いっでぇ!!!」
「約束違うじゃん」
姉貴を見た。オレを本気で睨んでる。マジで怖い。
「…春夏って呼べないの?」
「…牛乳でいいんだな…?」
とりあえず話をそらす。
「やだ」
「てめっ…」
「早く紅茶持ってきて」
…ちくしょー。オレは召使じゃねぇ。
「自分でやれよ」
「早く」
「…春夏、牛乳でいいよな…?」
「いいよ」
そんなにしてまで、姉貴って呼ばれるのが嫌なのか…?
「母さんは?」
「お父さんが今日帰ってくるから、そのお迎え」
「はぁ!?親父が帰ってくるのか!?」
聞いてないぞ!?なんで急に…!!!
「三日間休暇もらったらしいよ。週明けには向こうに戻るってさ」
親父が、帰ってくる。
学校から帰ったら、もういるんだ。





落ち着かない。
事実が流れるのは本当に早いらしい。
オレと浜崎さんが別れたことは、うちのクラスはみんな知っているようだ。
「よう。フラれたらしいな」
クラスメートにとってタブーらしいこの話題に触れてきたのは、宗宮だった。
「うるせぇ。オレが悪かったんだよ」
「だろうな」
「はぁ?」
宗宮はオレの隣りに座った。
「辛気臭ぇ空気撒いてんじゃねぇよ。終わったんなら、早く始めろや」
始める?いったい何を?
「自分の気持ちに正直になったわけじゃなかったのか。雰囲気は悪かったけど、眼は死んでなかったのにな」
「…お前にはわかんねぇよ」
こんな言葉しか返せない。情けない。
「千里は、本気で心配してんだぜ?」
宗宮が教室のドアを見た。そこには、千里がいた。
「………」
あのときのこと、千里は聞いたはずだ。
千里は、どう思ってるのかな…。
「………そうか」
千里が教室に入り、近付いてくる。
「…おはよ」
「…おはよう」
千里がオレの髪の毛を掴んだ。
「うぃっ!?」
「後悔したら、許さないからね?」
「わ…わかってる」
千里は微笑んだ。
「ならいいんだ。宿題見せて?」
つい笑ってしまった。
「オレもやってねぇ」
「珍しいね」
「昨日は色々と大変だったからな」
よかった。千里は、いつもの千里だ。
あとは、作山か…。
と、教室の扉が開いた。
作山だ。
「昨日のこと、全部澄君に聞いた」
千里が言った。
「澄君は、後悔なんかしてない」
あいつの顔は、まっすぐ前を向いていた。オレの眼を、見ていた。
「今だって、ほら」
千里の言いたい事はわかった。ようするに、オレは…。
「よう、四世弟」
「おっす」
作山が笑う。
「四世姉とはどーなった?」
「…進展は…してない、が。……まぁ」
作山の目を見た。
「悪くはないよ。お前のおかげでな」
こいつらに、心配をかけているらしい。


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