『理不尽な話』-4
「こいつは悪いことをした。それを償わせただけだ」
「そうだ」
「その通りだ」
「悪いのはこいつだ」
すると空が薄っすらと明るく光ります。
空から立派な白い髭の老人が現れ、言いました。
「なんということだ……」
老人はゆっくりと少年に近づき優しく抱きかかえます。
その老人は、泉に住んでいた神様でした。
皆が跪きます。
「お前たち、この子に何をした」
そして一人の大人が言いました。
「こいつはあなた様の泉を汚した罪人として、我々が裁きました」
とても誇るようにその大人は言います。
「なんと愚かな者たちだろう! この子が何をしたかも聞かずに、このような行為に及んだというのか!」
神様はぽろぽろと涙をこぼします。
「なんと哀れな子だろう……あの日からずっと、私に許しを乞うていたのに……。私がもう少し早く許してやれば」
少年は、あの日からずっと神様に謝っていました。盗んだものとはいえ、お供え物を毎日していました。泉に浮いているごみを、毎日拾いました。膝を地に着け、深く頭を下げ、泣きながら何度も謝っていました。
「この子が昔言っていた通りだ。子供も助けられない神が、何を言う権利があるというのだろう。すまない、すまない……」
神様は泣きます。泣きます。泣きます。
「おぉ、愚かな者たちよ。自分たちが裁きを下せる権利があると思い、この子を痛めつけるとは。何も見ない愚かな者たちよ、一生後悔し、生き続けよ。この子が受けた苦しみをお前たちも受けるがよい」
そして、神様は少年を抱えたまま空へと戻っていきました。
それを大人たちはただ黙って眺めることしかできませんでした。
だって、自分たちは正しいことをしたと思っているのですから。