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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 7-5

***

俺は翌週の土曜のリハビリも見学することにした。


病室の扉をノックして奏を呼ぶ。
「奏ー?」
いないのか?
「響さんならリハビリに向かいましたよ」
偶然通りかかった看護士がおしえてくれた。
「あ、どうもありがとうございます」
先に行ったのか。あいつまたパニクってアキに変なこと言いそうだな…
「あの」
看護士がなぜか引き止める。
「はい?」
「失礼ですが、響さんのご兄妹の方ですか?」
「……」
「……」
「……そんなところです」
しばし沈黙のあと、仕方なくそう答えた。
俺ってそんなに不審なのか?
ヤバい、周りの視線が気になってきた。

「では失礼します。ありがとうございました」
気まずくなってその場から逃げるように立ち去った。



俺は小走りでリハビリテーション室へ向かった。

「……ふう」
角を曲がるとすぐに扉が目に入る。
勢いよく開けると、ガラスの向こうでは奏とアキが会話をしていた。
当然なにを言っているのかはわからないが、なんとなく口論に見えなくもない。
「まずいな」
俺はつい無理やり、ガラスの扉を開けて中に入っていった。

「なに話してた?」
「春陽さん…」
「ハル、ここは入っちゃいけないって聞いてるよね?」
アキが凄んでくる。
少したじろいでしまったが、言い返すしかない。
「でも」
「と言いたいところだけど、特例で許可を出すから」
「…へ?」
言葉は遮られたが、アキは思いがけない一言を発する。
「本当は関係者以外立ち入り禁止だけど、奏ちゃんの両親はこの時間は面会に来れないから、ハルを特例で保護者に認定したの」
「……」
そういうこともあるのか。
「奏ちゃんが朝からずっと私にしつこく頼んできたから仕方なくだけどね」
「…え」
パッと奏の顔を見る。
奏は顔を赤くしながらえへへ、と笑う。
さっきの口論に見えた会話は、奏がずっと頼んでいてくれていたのか。
「ありがとう、奏」
「はい」
互いに笑い合う。
「言っとくけど、これでハルは奏の家族ってことだから、ベタベタしたらいけないからね。家族で付き合うわけないし」

アキはいつも、上げて一気に落とすやつだった。

「冗談よ」
アキも笑う。


それからは三人で頑張った。

「奏!頑張れ!」
「は…ぃっ…」
倒れ込む奏を支えるアキ。
「もう一回!奏ちゃん!」
「はいっ!」


その日も奏は全く歩くことができなかった。


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