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陽だまりの詩
【純愛 恋愛小説】

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陽だまりの詩 7-3

***

「兄貴!聞いてよ」
病室に入ると、美沙は突然声を荒げる。
「今日はノックしなかったこと怒らないのか」
「そんなの注意したって意味ないんだから!それより座って」
「どうしたんだよ」
俺は折りたたみ椅子の用意をする。
「告られちゃった」
「は?」
「告白されちゃったって言ってるの」
「どこのどいつだ」
頭に血がのぼる。
「小児科の先生。二十六歳だって」
「ぶっとばす、ロリコン野郎」
「…兄貴、自分の立場をわかってないのね」
美沙は呆れているが、そんなやつに美沙は指一本触れさせない。
「大丈夫よ、たぶん二度と現れないから」
「は?」
「言ってやったから」
美沙は笑っている。
「なんて?」



『だから、恋人になってほしい』
『え…本当ですか?』
『ああ』
『でも私…全く男性との…その…経験がないんですぅ』
『ほ、本当に!?あ、いや、そんなの気にしないよ』
『うれしい…わけないわよ、キモイんだよこのロリコン野郎』



なんかグサッときた。

「まったく…男性経験がないとか言ってみたら、いきなり鼻息荒くしやがって」
「お前なあ…」
途端に怒りが冷める。
というかキャラが全然違うのだが…

それにしても、鼻息か…意識してはなかったが、これからは気をつけよう。



「そういえば、さっき売店でアキさんを見たんだけど」
美沙はアイスを舐めながら窓の外を見て言う。
「あ、ああ、そうだ、お前にはまだ話してなかったな」
「…寄り戻したの?」
「いや、断った。それよりも、奏のリハビリの担当だったんだ」
「そういえば介護福祉士だったね、アキさん」
「偶然過ぎるだろ、しかもアキのやつ、奏に堂々と元恋人だって言っちゃってさ…俺は奏が好きって言ったからかな…」
「そりゃ言うでしょ」
「え?」
「兄貴わかってないね。寄りを戻すのを断られたうえに、十歳も年下の奏が好きだなんて言うんだもん。それに今日も二人揃ってリハビリテーション室に行ったんでしょ?」
「…」
「そりゃ悔しくて嫉妬するし、一矢報いたくなるよ」

わかってはいたけど、やはり他人から言われると事の複雑さに気付く。

それにしても、さすが、十六歳とはいえ女性の意見を聞くといろいろとわかることがあるもんだ。
「そうか…」

なんだか大変なことになってきたな…


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