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『ミッション!』
【学園物 官能小説】

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『ミッション! 2』-4

part 4

某日夕方。
ホテルの一室に、私服姿の瑠美と制服姿の私、それから先生が居た。
「先生……疲れきってるな」
ベッドに座り“本物の絵”を眺めてた先生が、当たり前だ、と呟く。
「そろそろ頃合じゃないかな、ユミちゃん?」
時計を確認し、私はウムと頷いた。鏡の前でメイクを始める。
今回の役は、年上の恋人だ。

――イメージは……ショパンを愛したジョルジュ・サンドだな。

学生らしい清潔感と……強い意志を秘めてるように……。
「……どうだ?」
メイクが終わり、鏡の中の自分を見詰める。
「カッコいい……ユミちゃん……」
「ほぉ……今度、お前を描かせろ、ユミ」
立ち上がって薄く微笑む。
「私がジョルジュ・サンドなら……先生はドラクロワだな」
「……?」
「……なるほど。そのイメージか」
瑠美はキョトンとし、先生はニヤリと笑った。
「――だが、サンドとショパンの恋愛は破局してるぞ?」
「私に子供は居ないよ、先生」
肩を竦めてみせると、瑠美は益々判らないって顔をした。
「……私だけ置いてけ堀なんだけど……」
先生が冷蔵庫から、頼んでおいたシャンパンとグラスを取り出す。
「……ドラクロワからサンドへ贈ろう。これで俺の絵を切り裂いて来い」


……ドアのチャイムを押すと、白いスーツを着た女性が顔を出した。
「……貴女は?」
写真で見た。少年の母親だ。
「柏木健介君とお付き合いさせて頂いてる松永夕美です。ここに来て欲しい、と連絡がありまして……」
ペコリと頭を下げると、部屋の奥から少年の声が響いた。
「――ですから、僕にはお付き合いしてる女性が居るんですッ!」
頑張ってるな、少年。
私は、お邪魔します、と言って室内に進んで行った。母親がオロオロしながら後を付いて来る。
室内の温度は少し高い。指示通り、少年がエアコンの設定を変えといたようだ。
「……ユミさん」
テーブルを挟んで、左側のソファに学生服姿の少年とスーツを着た父親、右側に和服を着た老人と名門女子高の制服を着た黒髪の美少女が座っている。
「……君は?」
老人の落ち窪んだ眼が、膝に置いて眺めていた絵から私に向いた。

――どこか体を壊してるな、この老人……。

軽く会釈し、老人を真直ぐ見詰める。
「彼とお付き合いさせて頂いてる松永夕美と言います」
「……ッ!?」
少女が一瞬、息を飲んだが私は無視した。
「……事情はよく判りませんが、取り敢えず差し入れを持って来ています。いかがですか?」
アイス・バケットの中の瓶を見せる。
「その特徴的な透明な瓶は……ルイ・ロデレール・クリスタルか?」
「えぇ、ロシア皇帝ニコライ2世が愛したシャンパンです」
栓を抜き、直前まで冷やしたグラスに黄金色のシャンパンを注ぐ。


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