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『ミッション!』
【学園物 官能小説】

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『ミッション! 2』-5

「うむ……いい趣味しておるな、娘さん」
テーブルに置かれたグラスを手に取り、老人が会心の笑みを浮かべる。「――ニコライの最期を思い浮かべよ、そういう皮肉か?」
「はてさて……」
薄く笑みを浮かべ、私は残りのグラスにもシャンパンを注いだ。……意外な展開に呆然とする両親、私の顔を何故かまだ見詰めている少女、そして少年にグラスを渡す。
自分のグラスを手に取り、
「何に乾杯しますか、御老人?」
「……何かを企んでる美しき娘さんに」
老人がスッとグラスを掲げる。
ふむ……。
「――そして、この状況を楽しんでる御老人に……乾杯」
「乾杯」
張り詰めた空気の中、グラスとグラスのぶつかる高音が響き……

「――あッ!?」

老人の手からグラスが滑り落ちた……。
part…5

「――で、どうなったの?」
「お前の描いたシナリオ通り、絵の上にシャンパンがこぼれた。贋作だと承知してた筈の少年も、染みだらけの絵を見て思わず涙を浮かべてな……。最早、婚約話どころでは無くなったよ」

翌日の放課後。美術室。
私と瑠美は、白い布の敷かれた床に座っていた。……いや、正確には瑠美の頭を膝に乗せた、何だか妖しい雰囲気のポーズである。
……あの後、濡れて染みだらけになった絵を見て、老人は舌打ちし『……これか』と呟いた。
贋作だと承知してた筈の少年は、感情が高ぶったのか涙をこぼし……両親はオロオロしだした。
『……その絵は、お祖父様が買う予定のもの。今この場で買い取って死蔵しないと、お祖父様の恥が後世にまで残りますわよ』
少女の言葉に老人は頷き、その場で小切手を切った……。
「口止め料も入ってるのか、額面は約束の2倍だったと少年が言っていたよ」
「へぇ〜」
瑠美がニコリと微笑む。

「瑠美、動くなッ!」

イーゼルの向こうでデッサンをしてた先生が怒鳴った。
「は、はいッ!!」
瑠美の体が硬直する。
フッ。……面白い関係だな、この二人も。
「ま、大体はお前の描いたシナリオ通りなんだが……」
「何かトラブルがあったの、ユミちゃん?」
「相談しようと部屋に戻ったら、鍵が掛かってて入れなかった。……何をやってたんだ、お前等?」
「いや……その……あはは……」
「日本語で喋ってくれ」
ま、判ってはいるのだがな。
……問題は、あの少女だ。私と少年が帰る際に、
『私、桜木美里と言います。……また会いましょう、夕美お姉様』
と、微笑んだのである。
「桜木美里??」
「一晩考えて……朝、漸く思い出した。私によくファンレター送って来た他校の女子だ」
「??」
瑠美が不思議そうな顔をする。……何か嫌な予感がするのだが、このテのものは他人に説明しづらい。
が……。
その予感がドタドタと騒がしい音を立てて、廊下を走って来た。振動で先生の握っていた鉛筆の芯が折れる。

ガラッ!

「ハッ……ハッ……ゆ、ユミさん……迎えに来ま……した……」
「はぁ……はぁ……駄目ッ! 男となんか……はぁ、はぁ……私と一緒に……帰りましょう……はぁ……ユミお姉様」
どうやって私が美術室に居ると知ったんだ、コイツ等?
やれやれ……。
「他校の人間が堂々と校舎内に侵入するな、馬鹿者ッ!!」


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