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『ミッション!』
【学園物 官能小説】

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『ミッション! 2』-2

瑠美が、ライターの火を煙草の先に近付け……いつもの小悪魔みたいな笑みを浮かべた。何か思い付いたらしい。
「ねぇ……もしかしたら、お兄ちゃんなら何とか出来るかもよ?」
「……俺が? しがない美術教師の俺に何が出来る??」
紫煙を吐きながら、先生が顔をしかめる。多分、先生の頭の中は嫌な予感で渦巻いてる筈だ。――それも生半可じゃなく。
「んとねぇ……お兄ちゃんが……」


part 2

翌日の放課後。
参拝する人の居ない小さな神社に私は来てた。ボロボロの鳥居を潜り、階段を昇ると……すでに少年が待っている。
「早いな、少年」
賽銭箱の向こう、拝殿の階段のところに学生服姿の少年が座っていた。
眼鏡を掛け、身長の半分ぐらいありそうな大きめのバッグを抱えて――今にも自殺しそうなオーラを出してる。
「あ、夕美さん……」
「持って来たか?」
私は埃を払い、少年の隣りに腰を降ろそうとした。
「はい……あ、ちょっと待って下さい……」
少年がポケットからハンカチを出し、そこに敷いた。「――どうぞ」
フッ。
「なかなか女の扱いを知ってるじゃないか、少年」
思わずクスリと笑い、私はそこに腰を降ろした。
「いや……あの……『少年』は止めて欲しいんですが……」
「そうだな、私と君は恋人関係だったな」
ハンカチの礼を込め、軽く少年の頬にキスをする。……少年の顔が真っ赤になった。
「あ、あの……僕……」
「うむ。バッグごと預かろう」
私は少年の腕を押さえ、スルリとバッグを抜き取った。……あたふたする少年を見てるのも面白いが、バッグを落とされたら困る。
「……でも、メール読んで驚きましたが、本当に出来るんでしょうか?」
「判らん。……上手く行けば君は自由、失敗したら私等全員とも詐欺容疑で逮捕だろうな」
アッケラカンと言う私に、少年が「そんなぁ〜」と情けない声を出してしがみついた。
「おいおい、覚悟を決めたから絵を持ち出して来たのだろう、柏木健介?」
しがみつく少年の頭を軽く叩く。
「痛ッ。……そうなんですが……」
棄てられた子犬のような瞳で見上げるな。
「……ま、私の親友は悪知恵が働く。アイツの脚本なら問題は無いだろう。あるとすれば……」
「……すれば??」
「君が必要以上にビクビクする事だ。……そんな男を、たとえ演技でも恋人にしたくはないぞ?」
「ウッ……」
だから、眼をウルウルさせないでくれ。
私は溜め息を吐いた。「――これからデートするぞ、柏木健介。恋人設定に慣れておいた方がいい」
立ち上がって少年の腕を引っ張る。……軽い。
「とっ、とっ……あのぉ、フルネームで呼ばれるのもちょっと……」
「恋人らしくなったら考えてやる、柏木健介」
私はクスリと笑い、少年の手を握って階段を降り始めた。


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