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かつて純子かく語りき
【学園物 官能小説】

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かつてクミコかく語りき-6

「あっ、あの!ちょ、ちょっと待っとってくれん?」
返事も聞かずにばたんとドアを閉める。
あああ。素っぴんよりタチが悪いよお!!
足の痛みなんかそっちのけでお出かけ支度を済ませ、眉だけ整えてから飛び出した。
「ごめん、滝田君!」
「お」
彼はドアのそばで壁にもたれながら、『こころ』を読んでいた。それから、区切りのいいところまで済んでから、あたしの方を見た。
「こちらこそ、お待たせしました」
なんだか付き合いたての恋人同士みたいな会話で、あたしは一人で照れちゃって、滝田君の顔もろくに見れなかった。
「階段。僕につかまってくださいね」
「あ、はい……」
そうでした。あたしの部屋は2階だもの。降りてみると、意外と傾斜が急だ。
始めは滝田君には寄りかかるまぁと思ってたけど、これは無理じゃ。
「ごめんね」
ジュンに後ろめたさを感じながら、滝田君の肩に両手でつかまる。彼の左腕に力が入るのがわかった。
細身なのに意外とチカラがあるなんて、卑怯だわ。
…………に、しても。
痛いやん、この左足。
「大丈夫?」
「……うん」
足は想像していたよりも痛くて、これから病院までの道程を思いやると気が遠くなってしまった。それを察してか、滝田君が声をかけた。
「あともう少しですよ」
励まされながら、やっとこさ地上に降り立つ。
「ふえ?」
目の前にはツートンカラーのラパン。
「くーるーま。借りちゃいました!」
「えええ!??」
嬉しそうにころころ笑う滝田君。「ほらほら」と促されるままに助手席に乗りこんだ。
「いやー。久々です」
シートベルトを締めながら、彼は目を細めた。
「め、免許持っとったん??」
「はい」
父親以外の運転する車なんて初めてで、あたしはとにかく緊張してしまっていた。
「車酔いしたら言ってくださいね」
滝田君はそう言ってから、慎重に発進した。



病院での診察結果は、「捻挫」だった。まあ、そうじゃろね。
「お待たせしました」
滝田君は受付のイスでまたもや読書中。先ほどと同じように区切りのいいところで読むのを止めた。
「お疲れさまです」
「ほんまにありがと〜」
彼はちらりと腕時計を見てから、にっこり笑った。
「茅野さん。ご飯、まだでしょう?」
つられてにっこり笑い返す。お腹の虫は今にも暴れだしそうで、断る理由なんかどこにもなかった。
……んだけど。
まさかまさか。
ここだと知っていたら、断固として反対したのにぃ!!
「ジュンも心配してましたからねぇ」
松葉杖をつくほどではなかったので、滝田君の肩を借りながら歩く。
「そ、そうじゃね」
一歩一歩、藤川さんのクレープ屋さんに近づいていく。
一体どんな顔して会えばいいんよ〜!!
動揺を悟られまいと、必死に歩くフリをしてうつむいたままにしていた。
「さ、どうぞ」
ドアへと続くステップを上がり、窓からちらっと中をうかがう。


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