投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

『傾城のごとく』
【その他 その他小説】

『傾城のごとく』の最初へ 『傾城のごとく』 28 『傾城のごとく』 30 『傾城のごとく』の最後へ

『傾城のごとくU』中編-2

チコは成長するに従い、夜行性である本来の姿になりつつある。
最近は朝5時にゴハンの催促をする。そして、午前中はウチの中を遊び回り、昼から夕方までは眠っている。
夕方にゴハンを食べてちょこちょこ動き回っているが、また直ぐに眠ってしまい、夜10時を過ぎると起きて、明け方まで寝たり起きたりを繰り返している。

正直、最近の私は睡眠不足だ。

だから今夜は、ゴハンをたくさん入れてベッドに入りたかった。




「千秋!もう寝なさい」

名前を呼ばれて、私はハッと目を覚ました。でも、それもわずかな時間だけで直ぐに瞼が重くなる。

「でも、チコが起きてくるから…その後に寝るよ」

そう言いながら、私は居間でスヤスヤと眠ってしまった。

「ニァォ〜〜ン」

10時過ぎにチコが起きてきた。
私の耳元でゴハンの催促をしている。私は気付かずに眠っていた。
チコは私の顔をしばらく覗いていたが、やがて私の身体をよじ登ると胸の上に座り込んだ。
家族は、その様子をジッと見つめてる。チコはジリジリとにじり寄り私の首元に座った。

私は首を絞められる夢を見ていた。泥棒が入り、たまたま居あわせて襲われている。

「ウ…ン…イヤ…イヤッ!」

瞬間、私は夢から覚めた。
開いた視界を、黒い物体が覆っている。

(…な、何……)

目が覚めるに従って、それがチコだと分かった。ふと横を見ると、家族は声をあげて笑っているではないか。

「何よ!」

母は笑いを堪えながら言った。

「チコの〈実力行使〉を見てたらおかしくって!」

姉の小春が続ける。

「アンタの耳元でニャアニャア鳴いて、それでも起きないからアンタの上に乗って!アンタと違って大した猫ね」

私は起き上がって台所へと向かった。チコは跳ねるように、私の前を歩いて行く。

山盛りのドライフードを餌入れに入れてやった。明日の朝まで起こされないように。チコが嬉しそうに食べてるそばに、私はしゃがみ込んで見つめる。

「アンタも、毎日何回も同じ物食べて飽きんね〜」

そう言って背中を撫でてやる。

それが間違いだったのは後日分かるのだが。

「お母さん。ワタシ寝るから。お母さんが寝る前にチコのゴハン入れといて」

〈ハイハイ、おやすみ〜〉と母の声。私は〈おやすみなさ〜い〉と告げると自室へと引っ込んだ。


『傾城のごとく』の最初へ 『傾城のごとく』 28 『傾城のごとく』 30 『傾城のごとく』の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前