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なんつーこった!
【学園物 恋愛小説】

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なんつーこった!第一話-1

高1の春、父さんの突然の転勤で引っ越すことになった。
馴染みのあるこの町からも、今日でお別れだ。
この町での思い出を振り返りながら、父さんの車に乗り込んだ。
「ごめんな、良登(りょうと)。急に引っ越すことになって。」申し訳なさそうに父さんが、助手席に座る僕に謝ってきた。
引っ越すことになったのは3週間前、その時も謝られた。引っ越しの作業中も何回も謝ってきた
「何回謝るんだよ。もう良いって、ちゃんとクラスの奴等にもお別れしてきたし。それに、父さんが謝る事じゃないだろ。」
思わず溜息が出てしまう。
「いや、しかし………」なんてまだゴニョゴニョ言ってる。いい加減怒るぞ、と脅して車を発車させた。


引っ越し先は花風町という海に近い所だった。僕はずっと都会に住んでいたせい(?)か、海にはあまり来たことがなかった。
高速を出ると潮の香りが漂ってきて、子供の様にはしゃいでしまった(窓から首をだしたり……)。
新しい住まいは十五階建のマンション。今まで一戸建てに住んでいたので、マンションというのにはかなり憧れていた。
「引っ越し作業は父さんがやっておくから、良登は新しい学校見てきなさい。」
父さんのお言葉に甘えて僕は新しい学校を見に行くことにした。


『花風高校』に向かう途中、自転車にすれば良かったと何度も後悔してしまった。かなり遠い上に、渇いた喉に潮風が染みる。ここら辺に自転車は在るだろうか、などと考えていると……
「そこの君」と背後から声をかけられた。
振り向くとそこには眼鏡を掛けてニヤニヤしてるおじ様。首に教員カードを提げてるので教師だと分かる。
「なんでしょうか」喉が渇いてるから、あまり喋りたくないのだが。
「花風生だろ?学校はどうしたんだ?サボりかい?」と眼鏡の先生。ニヤニヤすんな。
「サボりじゃないです。」
「サボりじゃないのか、じゃあ君は何者だい?」変わった人だ。
「実はさっき引っ越して来たばかりでして、学校を見学しようと思ってるんですが」
眼鏡の先生は僕の発言を聞いてしばらくキョトンとしていたが、ああ と言って手を叩いた。
「確か狭山くんだったかな。」おぉ、伝わった。
喉が渇いて喋りたくないので頷くだけにしといた。
「それを早く言いたまえ。」とニコニコしてる変人。
「職員室まで案内しよう」と突然回れ右をして歩き出す先生。
妙に大股なので僕は走るハメになった。


[花風高校・応接室]
「喉が渇いただろう、飲むといい。」山崎は僕に湯呑みを渡した。
先程の眼鏡の先生は山崎と名乗り、お茶をご馳走しようと言って僕を応接室に案内した。喉をいち早く潤す為、湯呑みの熱いお茶を喉を鳴らして飲んだ。
「見学に来たんだったね。」そう言うと山崎は僕から空の湯呑みをひったくり、ごゆっくり と言って、僕の背中を押して応接室から追い出した。
なんなんだ、あの人は。


5分程応接室の前で山崎の登場を待ったが、出てくる気配がないので、仕方なく校内は一人で周ることにした。
今は授業中らしく、教師の声とチョークが黒板を叩く音、生徒の喋る声が廊下に響く。
新しい高校生活が楽しみだ。そう思った。
3階へと続く階段に差し掛かった。
踊り場には大きな窓があって、階段に午後の光が差し込んでいる。眩しさで頭がクラッとする。
ドスンと尻餅をついた。
どうやら足を踏み外したらしい。昔からドジなんだよな、僕は。


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