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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?5〜難航のプレゼントとこめられたコトノハ〜-7

「……」
彼はそのまま、ゆっくりとそれが飾られたショーケースに近付く。
その途中で、誠司はだんだん思い出してくる。
全体的に青かった玲の部屋。
「飾るのは嫌い」と言いながら装飾を置いてあった寝室。
手持ち無沙汰にいじっていた小さなブローチ。
たった一ヶ月の間で目にしてきたたくさんの「霧澤 玲」を思い返し、誠司はネックレスを見つめる。その目は、ややあって値段へと移る。
「…あ…」
高い物ではあった。しかし、誠司の給料でも充分手が届く値段である。
「……」
しばし、熟考。その隣で湊は、他の宝石を見るわけでもなく、ただ誠司を見守っていた。


二人は、装飾店を後にした。
「本当にありがとうございます、湊さん。おかげで、いいと思えるプレゼントが買えました」
感謝を述べる誠司。その腕には小さな細長い箱が、大事そうに抱えられている。
「いえ。こちらこそ、お役に立てて良かったです」
一方、湊は微笑とともに首を振りながら、誠司の方を向いた。すると、誠司とばっちり目があってしまう。
「そ、それに、こういう経験は滅多にないので…いい勉強になりましたっ」
途端に何故か恥ずかしくなってしまい、彼女は慌てて目を逸らす。だが誠司の方は特に変化はなく、湊の態度に首を傾げるだけ。もっとも、それはすぐに消え、彼はふとひらめいたような顔になった。
「…そうだ。どうせですから、何かお礼をさせてもらえませんか?」
「…え?」
「プレゼント選びに付き合ってもらったお礼です」
不意の申し出に最初、湊は首を傾げた。が、その態度の意味を察した誠司が言葉を続けると、納得したような顔になる。
「そんな…お礼なんていいですよ」
そして苦笑。それに対し誠司は、「それじゃ俺の気が済みません」とはっきり告げた。
「結構困ってた事でしたし…それに、大分長く付き合わせてしまいました」
続いて、そう言いながら星の瞬き始めた黒い空を指さす。
「だから、何かお礼がしたいんです」
そして、湊の目をしっかりと見据えた。
彼の目は、真剣そのもの。そこから漂うものに、湊は足を止める。
「……」
腕を組み、しばし考える。それから誠司の方に向き直り――

「…わかりました」

――承諾。次の瞬間、誠司は安堵の息を漏らす。
それを見た湊は、ちらりといたずらっぽい笑みを見せた。
「…じゃあ、お礼は…」
考えるふりをしながら、誠司の方をちらちらと見てみる。
「……」
誠司はただ黙って待つ。それに対し湊は。
「…誠司さん自身で」
まずはからかう。誠司は数拍置いて、それから軽く赤くなった。
「冗談です」
予想通りの反応にくすくすと笑いながら、湊は発言を冗談として取り消す。すると、からかわれた事を知った誠司は、若干恨めしげな目で下唇を突き出した。
「…からかわないでくださいよ…真面目に聞いてるんですから…」
「す、すみませんっ。…ええと、じゃあ…」
慌てる湊。誠司が僅かにむくれたのを見たせいか、考えていたはずの答えが出てこない。本来ならそれを思い出しておきたい所だが、先程冗談など言ってしまった手前、あまり誠司を待たせるわけにはいかない。
その結果、彼女は思い出すのではなく――


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