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銀の星〜森の広場 編〜【R】
【ファンタジー 恋愛小説】

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銀の星〜森の広場 編〜【R】-1

 暖かい真昼の空は、見事に晴れ渡っていました。
 雲はひとつもありません。いつまでも変わらない、抜けるような青がどこまでも続いています。
 そしてその空を、例えばハトの群れとかが飛んでいたらばそれはそれはイイ絵になるのでしょうが、なぜかたった一羽の鳥も飛んでいません。

 ──パンッ!

 前触れ無く、耳をつんざくような乾いた音が響きました。それをエコーが慌てて追い掛けます。
 実はそれは、さっきから断続的に聞こえていました。今ので三回目になります。
 鳥が空を飛んでいないのは、どうやら完全にそのせいのようです。
 乾いた音は、静かな空間をエコーが続いている間だけ賑やかにして、そしてすぐに沈黙で包みました。


 そこは、森の広場でした。
 おそらく人為的に作られたであろうもので、高い所から見下ろすと綺麗な円形をしています。そしてその中に立つと、大変広く感じられました。

 そこに、一人の少女がいました。
 名前をリレイといいます。
 とても可愛らしい顔立ちです。肩まで届くくらいの栗色の髪に、大きな瞳は灰色をしています。肌はどちらかといえば白い方で、誰もがうらやむような若々しさで溢れています。
 衣服もそれを主張するものでした。白いノースリーブに、デニム生地のショートパンツ。腕全体と腿(もも)から下が、惜し気もなく露出されています。
 ヒロインとしては、すこぶる申し分ない容姿なのです。

 スポーティ美少女リレイ(以下リレイ)は両手で何かを構えていました。そして片目をつぶっています。開いたもう片方の目は、鋭く、何かを狙っていました。
 手にしているのは、なんとピストルです。小口径で銀色の、お世辞にも性能がいいとは言えない代物ですが、それでもいっぱしのピストルです。
 ふぅー……、リレイは息を細く長く吐き出しました。そして切れよく止めます。
 次の瞬間、例の乾いた音と共に銃口から金色の弾が飛び出しました。目にも止まらぬスピードで飛んでいきます。森の空が、またほんの少しだけの賑やかな時間を迎えました。
 弾は一秒間に何千回かの回転数で回転しながら突き進みます。横向きに風が吹いていましたがそんなの屁でもありません。そして一秒の何十分の一くらいの時間を要して、目標物の右やや下にぶち当たりました。
 カン! と銃声に負けず劣らずの乾いた大きな音が鳴りました。森の空にパン! とカン! という二つの音が混ざったエコーが響きます。
 なにも知らずに近付いてきたトンビ(タカやワシと区別がつかないやつ)が、その奇妙な音を耳にして悠然とUターン、遠ざかっていきました。

「…………」
 五十メートルほど遠くで赤いラベルの空き缶が宙を舞ったのを見て、リレイはピストルを下ろしました。まだ銃口から煙を上げているそれを、腰のベルトに吊るしたホルスターにしまいます。
 そして憂いを帯びた表情で呟きました。
「全然、ダメ」
 それはとても美しい声でした。鈴を転がしたようなとは、こういう声のことをいうのでしょう。おっと脱線しました。
 リレイは、五十メートル先に立てられた空き缶を撃ち抜くのに四発も弾を要してしまったことが納得いかない様子です。
 しかしあの小さな標的にこの距離で、しかもそれほど性能のよろしくないこのピストル(正式名称:EY46)の弾を当てる時点で、それはもう素晴らしい技術の持ち主ということになるのですが、彼女はまた素晴らしい向上心の持ち主でもあるのでした。


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