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親友という名の
【悲恋 恋愛小説】

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親友という名の-2

数日、昔のようにヨシとリンと俺で高校生活を馬鹿みたいに送っていた。
2回目の高校の授業は簡単に感じて窓の外をいかにも暇そうに眺めていた。
もう、なんで此所にいるんだ、とか、もとに戻ろうとか、そんなことは考えなくなっていた。
いや、もしかしたら元々2008年に戻ろうなんて考えてなかったのかもしれない。
ヴゥ ヴゥ
携帯がポケットの中で震える。

『今日、放課後ちょっといいかな』

リンからだった。
あぁ、この日か。
卒業式を一週間後にひかえたこの日、俺はリンに呼び出された。
何を言われるのか知っている。
“親友”というかたちが俺の中で崩れだしていく日。
『いいよ』
そう返した。
悩まなかった。もしかしたら未来が変わるかもしれない。そう思った。
また“親友”がいなくなるのは嫌だったから。
こっちをみたリンに軽く手を振り俺は机に再び突っ伏す。
その瞬間、今日何度目かのチョークのへし折れる音が聞こえた。



放課後、家の近所にある公園のベンチに座ってリンを待っていた。
「はぁ…」
ポケットの中にあるタバコを取り出し火をつける。
クッキーのような独特の甘い香りがする。
「やめたんじゃなかったの?」
後ろで声がした。
「今日だけ、かな」
あっそ、としれっと返したリンは俺の隣りに腰掛けた。
「で、話って?」
煙を吸い込む。
知っているのに聞く。
できる限り記憶に従順に。
「………」
沈黙が流れる。
もしかしたらリンがタバコを吸い終わるのを待っていたのかもしれない。
持って来ていた携帯灰皿にタバコを押込む。
「ミィ君ってへんなとこ律義だよね」
それをみてリンは笑った。
「それで、話って?」
再度、
「…私ね、ヨシ君のこと好きなんだ」
「ふーん」
「ただ、言い出せなくて」
タバコのせいか口の中が苦い。
「明日から二人で帰れよ。俺大学の手続きとか一応やることあるし」
嘘をついた。
結局俺は親友を裏切れなかった。
全てが前回と同じように進んで行く。
「うん。ありがと」
とリンが立ち上がる。
「じゃあ、また明日」
「あぁ」
後悔、か。
帰って行くリンの後ろ姿を眺めた。
「なぁリン!!」
その声にリンが振り向く。
「もし俺が、…俺がリンのことを好きだって言ったらどうする?」
「え?」
明らかに戸惑った表情が見える。
たぶんきっと、リンはずっと前からヨシのことが好きだった。
だからこの問い掛けはお互いの今の“親友”という関係を更には悪くさせるだけだった。
それでも、もう自分の中から後悔という感情を消したかった。


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