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君のそばにいてあげる
【学園物 恋愛小説】

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君のそばにいてあげる(一日目)-2

彼女は『神林遥奈』で俺のクラスメイトであり、ご近所さんである。
遥奈は暫く俺を上からじーっと見つめると、急に笑顔になって騒ぎだした。
「あーっ! ゆーくんだぁ! ゆーくん、ゆーくん、どーしちゃったの?」
どうやら俺の小さい頃の姿を思い出したらしい遥奈は脳天気なくらいニコニコしながら俺の頭を撫でやがる。
「あーっ! 頭を撫でるなっ。それより、俺の上履きを取ってくれないか」
俺が自分の頭にある遥奈の手を邪魔そうに払い除けると、遥奈は「ぶーっ、ゆーくんのケチ」と言いながら頬を膨らませ拗ねた。
遥奈が拗ねるだけならまだ良かった。
しかし、こいつはおもむろに俺の後ろに回ると、両脇を掴み一気に持ち上げやがった。
「ほーら、ゆーくん。高い高ーいっ! あははっ」
「バカッ、やめろって! あぶねーだろっ」
「大丈夫、だーいじょうぶ。あたしがちゃんと持っててあげるから、ゆーくんは早く上履きを取ってね」
あまりのアホな状態に脱力した俺の手足は遥奈の目の前でぷらぷらと揺れていた。
くそっ、いつもからかってるから仕返しでもしてる気かっ!?
遥奈は良く言えば『天真爛漫な子』だが、悪く言えば『アホな子』だ。
遥奈は見た目は良いし、学力的には優秀なのだが如何せん性格がアホなのだ。
故にクラスの認識もアホの子である。
遥奈に抱き上げられた俺はさっさと上履きを取り出し履き替えると、遥奈は俺をゆっくりと下ろしてくれた。
「はーい、ゆーくんいい子でちゅねー」
こいつ……完全に俺を小さい子扱いしてやがるな。
ムッとしながら俺はぶかぶかの上履きをパタパタさせながら教室に向かうのだった。
俺は三階にある自分の教室に向かう為、遥奈と一緒に階段を昇りながら、ふと視線を上に向けるとありえない光景が目に飛び込んできた。
それは先に階段を昇っていた女子生徒のスカートの中だった。
よく考えてみれば、前の子のスカートは今どきの短さで、俺の身長は今までの約半分なのだから、こういった場所ではありえる現象だ。
急に顔が赤くなる俺の様子に気付いた遥奈はコツンと俺の頭にゲンコツをくれる。
「ゆーくん、そーゆーことしちゃめーっなの!」
とことん俺を子供扱いする遥奈だった。
そんな俺達のやり取りに気付いたのか、前にいた女の子がこっちを振り返ると遥奈を見て笑顔になった。
「あっ、遥奈おはよー。ところで何、その子? 遥奈の隠し子?」
笑いながらこっちに歩いてきた女の子はクラスメイトであり、遥奈の友人でもある『宮藤杏子』だった。
「誰が隠し子だ! 俺だ! 美作祐二だっ!」
遥奈の挨拶を遮る俺の言葉に杏子はキョトンした顔をする。
「マジでっ!?」
「マジだ……」
俺の言葉に暫しの沈黙がその場を支配した。
「……ぷっ……ぷくくっ…マジで祐二なの!? 何その格好。マジでウケるんだけど!」
そう言いながら杏子はその場で腹を抱えて大笑いしだした。
「笑うなっ!!」
「そりゃ無理ってもんでしょ! あっははははっ! ひーっ、く…苦しい。朝からとんだ腹筋ブレイカーに会っちゃったよー」
「杏子ちゃん、そろそろ教室に行こっ」
遥奈の言葉に苦しそうに腹を抱えながら笑う杏子は頷くと俺の頭をポンポン叩きながら一緒に教室へと歩きだした。


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