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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?4〜順調で幸せな一日と難問の前兆?〜-3

――それから数刻。
誠司は、今日の仕事を全て終えた状態で無事に定時を迎え、部下達を先に帰らせてから、その日の営業一課の勤務記録入力――誠司がお世話になった「営業実績ファイル」を製作する上で必須になる情報であり、これが記録されていない所の責任者は相当大変な目にあうという、れっきとした仕事――をしっかりと済ませ、同様に入力している他の管理職よりは早い時間で出社していた。

(……さむっ)

建ち並ぶビルとビルの間の、イルミネーションが輝き始めた道をすたすたと歩きながら、誠司はコートからはみ出た首を引っ込める。しかし、中に首をしまいこんでも、頬を撫でる木枯らしの寒さはどうしようもない。彼は吐く息を白く染めながら、できるだけ寒くないように首を縮め、歩みを早めた。

と、信号にひっかかる。

誠司は同じく信号に足止めをくらった人混みの中に紛れ、信号を見上げた。すると、街路樹に巻きついた淡い光の群れが、視界に飛び込む。
それは、来るべき聖夜を彩る、大切な印。その印に対し、誠司は思わず白いため息を漏らした。

(…イルミネーションは、綺麗ではあるけど……冬の寒さが余計に感じられる気がするんだよなぁ…)

――中身は、感嘆ではなく若干の憂鬱だったが。
(…でもまあ、冬だからいいか。季節を感じるのも大事だし)
――もっとも、憂鬱はすぐにかき消えた。
信号が変わり、人が流れ始める。彼は微かな笑みを浮かべながら目を戻し、その流れに沿って歩き始める。
と、少し流れに沿った後、彼は人混みからさっと離れた。そのままビル街を背に、歩を進め――

――やがて、一軒の小さな店に辿り着く。

そこは、喫茶店。コーヒー「だけ」を徹底的にこだわった、最近では珍しい趣向の店。ビル街からはあまり離れてはいないせいか、「知る人のみ知る」といった店である。

その扉を、迷う事なく開ける。

――まず、鈴の音。
次に、柔らかい光が目に飛び込んできた。
次いで、コーヒー豆の匂いに満ちた暖かい空気と、それに見合った心地の良い静けさ。

「…いらっしゃいませ」

そして出迎えたのは、若干の若さが残る一人の男性。
「待ち合わせをしているので、二人分の席をお願いしていいですか?」
誠司は彼に、丁寧な口調で問うた。それに対し男性は、「かしこまりました」と一礼し、誠司を案内。
そして、ついて行った先は、希望通り二席のテーブル。
誠司はその片方に腰を下ろしながら、男性に顔を向けた。
「モカを一つ、お願いします」
「かしこまりました。…ごゆっくりどうぞ」
再度一礼。その後、男性はその場を後にする。その様子を見届けて、誠司は息を静かに吐き出す。彼は脱ぐのを忘れていたコートを、音を立てないよう静かに脱ぎ、座席の背もたれにかけてから、少しだけ背を丸めた。


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