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『碧色の空に唄う事』
【純愛 恋愛小説】

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『碧色の空に唄う事』-9



まばたきをした瞬間、宵の姿は既に無くなっていた。
泣きたかった。
すっごい、泣きたかった。
けど、私は泣かなかった。

泣かなかった。


◆ ◆ ◆

涙が止まったとは思わない。けれど、クリスマスの日に宵が会いに来た事は、確かに意味があったんじゃ無いかと思う。
何かを予感させるみたいに、ドラマチックで、排他的に、幻想的な感覚で現れたんじゃ無い。むしろ、何もかもを感じさせないぐらいリアルな宵が現れたって事実は、絶対に意味がある。

私は、今日でやっと宵とお別れができた。
情けないぐらい、口下手で、言葉足らずだったけど。
それもそれで、私達らしかったからそれはある種の正解なのだ。
なんとなく一回深く頷いてから、私は前を向いた。深く息を吸い込んでから、大きく叫んだ。
「宵も笑っててよ!私も唄うから!」


* * *

――え?
ううん、なんでもない。
そうだ。
――いいや、そうじゃないよ。約束しよう。
『僕と京子を繋ぐ物』それはきっと、意味がある。
約束しよう。
僕等は、確かにここにあった事を忘れない。
約束だ。
約束があり続ける限り、僕は何度でも京子に会いに行くから。
――僕はそう唄い続ける、京子は思い続ける。
――残酷だよね。悲しいよね。虚しいよね。


けれど。
僕は君が好きだったりするんだな。
そうなんだ。
僕は君が好きなんだ。




〜END〜


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