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『碧色の空に唄う事』
【純愛 恋愛小説】

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『碧色の空に唄う事』-8

◆ ◆ ◆

――んっと…ただいま
「しょ…う!?ど…う、して?」
――ん?どうしてって?
「だって、だって宵は!」
――あぁ、そうだね。本当の僕はもういない
「じゃあどうして?これは?
これは夢なの?」
――そうじゃないよ
「夢なんでしょう?だったら、なんて残酷な夢なの…?酷いよ…」
――違うよ?京子。僕はここにいる
「ほん…とに…?」
――本当だよ、ほら
「本当だ…本当に宵が!」
――ふふっ、言っただろ?会いに行くって
「宵!会いたかったよ!宵!」
――本当?忘れようとしてたんじゃないの?
「それは、辛かったからだよ!
本当は、会いたくて仕方なかった!!」
――あ〜ダメダメ、泣かないの。…わかってるよ。大丈夫、全部知っているから
「宵、見てたの?」
――うん、全部見てたよ。京子を見て無い日なんて無かったんだから
「宵」
――だから、泣かないで?何時でも、何処にいても京子を見てるから
「…うん」
――大丈夫だよ。きっと上手くいく
「うん」
――ほら、最近、気になる曲あったでしょ?ほらほら、千鶴チャンが口笛吹いてたやつ
「ん?うん」
――ふふっ、あれね、僕が京子の耳元で唄ってたんだよ?気づかった?
「ええ!そうだったんだ…」
――うんそうだったの。ごめんね、驚いた?
「うん、少し」
――ははっ、ごめんねぇ。これからは気をつけるから
「…これ…から?」
――…うん。これから
「やっぱり、会えなく…なる、の?」
――そりゃ…ね…
「やだよ…嫌だよ宵!?」
――うぅ〜、ほらほら。泣かない泣かない
「やだよ…」
――仕方なくだろ?いつまでウジウジしてるんだよ
「やだ」
――ほら、顔を上げて、涙を拭いて
「やだ」
――いつまでもだだこねないの。子供じゃないんだから
「そんな事言ったって」
――いい?大丈夫だから。心配しないで? いつでも側にいるから
「う…ん」
――だからもう泣かないで?その為に会いに来たんだから
「うん」
――辛い時は思いだして?君の為の歌がある事を
「う…ん」
――あぁ…もうそろそろ、時間みたいだ
「宵…ずるいよ」
――…そんな事言わないで、ほら
「うん」
――じゃあ最後に、唄います
「宵?」
――いいから、いいから。聴いててね
「…ん」
――君の中にある脆くて弱い砂の城 自分勝手に崩してきたんだろう
君の中にある儚く憂う白い花 水もやらずに見てただけなんだろう
憧れが強くて崩れた砂の城 自分自身で潰したのはずなのに
“そこ”に咲く気高く可憐な花は 強くあろうとして 周りを恨む

無視するなよ 君のせいだろ
気付けばいつも“そこ”にあっただろう
気付かないふりして 強がって
それでも僕は 君を離さない

思えばいつも戦って来ただろう その手に持った不確かな物で
振り向けば“そこ”に確かにあっただろう 僕は唄うよ“ここ”示すんだよ

愛してるって言葉だけなら 君を愛してるとは思わないさ
愛してるって思うからこそ 君を強くギュッと抱くんだ

君が泣くから 僕は唄う
君は笑ってよ 僕は唄うから...


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