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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜
【ファンタジー 官能小説】

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DEEP DIVER玲那〜闇に沈みし者〜-32

「お願い、桜龍さん。飛騨先生を助けてあげて」
 切迫した表情で、更に言葉を続ける奈々花。
「此処にいる化け物達はみんな、その男が作りだしたのよ。自分のエゴの為に生徒を犠牲にして。それに、奈々花ちゃんだってその男に酷い目に…」
「…それでも」
 首を横に振る奈々花。
「それでも先生を許してあげて。お願い…」
 奈々花の言葉が玲那には理解できなかった。人の命を弄び、心をいたぶる飛騨は許すことのできない悪辣な人間である。たとえ玲那が奈々花の立場であったとしても、どんな百年の恋も冷めるというものだ。
 しかし、奈々花は頑なであった。悲痛な覚悟で玲那の前に立ちはだかる。
「私は石ころだったから。誰の視界に入っても、ただそれだけだったから。だから、どんな事でも私の存在を意識してくれる人がいて、私はそれだけで嬉しかった。私は一人じゃないって思えたから…」
 奈々花の言葉に、玲那はこの学校で初めて奈々花と会ったときのことが脳裏をよぎった。内向的で、人一倍傷つきやすい少女。しかし、だからこそ奈々花の心の隙に付け入った飛騨が許せない。
 しかし、その飛騨は奈々花が玲那を引きつけている間に部屋の奥へと逃げ込んでいる。コンソールパネルの前に立ち、喉を鳴らして笑う飛騨。
「大神室は可愛い奴だな。僕の為にその女を足止めしろ。そして、僕の愛に殉じて死んでくれ」
 飛騨はそう言うと明滅するキーボードの上に指を滑らせた。それは、怪物達の眠るカプセルを制御するものだったのだが、しかし、羊水に満たされたシリンダーには次の瞬間亀裂が生じ、中の液体が溢れ出し、圧力に耐えかねてガラスが割れると、無数の異形達が水たまりに転がり出た。
 のろのろと立ち上がり、獲物を求めて咆哮を上げる怪物達。その怪物達を見て、竜人となった玲那の顔が嫌悪に歪む。
「どこまでも腐った男ね」
 吐き捨てるように呟く玲那。
「奈々花ちゃん……」不意に、玲那は視線を奈々花に戻した。「……奈々花ちゃんの存在を意識してくれるのは、きっと飛騨だけじゃないよ」
 玲那はそう言うと、奈々花に背後から襲い掛かろうとしていた怪物の頭部に拳を叩きつけた。
 まるで腐ったトマトのように弾け飛ぶ怪物の頭。
「あんたらみたいな神人の出来損ない、束になってかかってきたって負けるもんかっ!」
 玲那はそう叫ぶと、化け物達の中へと躍り込んだ。手の触れるもの全てを砕き、引き裂き、噛み千切る玲那。耳まで裂けた口は血にまみれ、充血した瞳は興奮して狂気の光を宿していた。怒髪天を衝く様相で、その鬼神の如き戦いぶりに怪物達は気圧される。
 いつしか攻めあぐね、遠巻きに玲那の周囲で様子を窺う怪物達。しかし玲那は容赦はなく、自ら進んで怪物達に飛び込んでいく。
 玲那の圧倒的有利であったが、そこへ突如として天井近くの空間がガラスのように砕け落ち、中から威容が現れた。
「新手!?」
 剥がれ落ちた空間を見て、思わず声を発す玲那。

 だがしかし、異空間の裂け目から姿を現したのは人型に変形した月狼であった。そして、その後から続くサングラスの男、陣屋葵。
「ちぃっ!玲那の奴、始まってやがる!」
 龍鱗を身に纏った玲那の姿を見て葵は顔をしかめて舌打ちをした。その傍らでダイアナが玲那の姿を見て驚いた声を出す。
「嘘?あれが玲那ちゃん!?」
 ダイアナはにわかには信じられず、竜人の姿となった玲那の身体を走査した。しかし、月狼のスキャンシステムは玲那の生体反応を示している。
「でも、この反応、まるで神人じゃない…」
 解析されたデータでは生体反応は玲那と合致するが、その霊的位階は高位の神人並みと表示されている。巫女の霊力が凡人のそれよりはるかに上であることを差し引いても、その人間離れした霊威にダイアナは驚きの声を上げる。


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