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相沢智香の胸の内
【学園物 恋愛小説】

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相沢智香の胸の内-4

「……お兄ちゃん、あのね…智香……お兄ちゃんのことが好きでした……」
智香はそう言うと笑顔を見せる。
しかし、その笑顔は他人から見たらなんてことはない普通の笑顔なのだろうが、家族である圭介にとって、今の智香が見せる笑顔は悲しみが滲んでいることがありありと分かるのだった。
「智香はね…ちっちゃい頃からお兄ちゃんが好きでした……」
「智香……」
「でも、智香はね…お兄ちゃんと香織ちゃんの気持ちを大事にしたい……」
智香は圭介に背を向けるとそのまま話を続けた。
「だって、二人は智香にとって大事な人だから……だから…智香はお兄ちゃんの妹で、香織ちゃんの親友でいることに決めたの……」
智香の声が微妙に変わり、微かに鼻声になる。
恐らく泣きたいのを我慢しているのだろうと圭介は想い、智香に話し掛けようとしたが、その言葉は智香に遮られてしまう。
「明日から…は、ちょっと無理かもしれないけど、出来るだけ早く…いつもの智香に戻るから……今は何も言わないで」
そう言うと智香は圭介を部屋から出るように言い、圭介もその言葉に従うしかなかった。

それからの数日、智香は塞ぎ込むこともあったが、それでも笑顔を絶やさぬようにしていた。
その姿に圭介や香織は胸を痛めたのだが、ここで心配そうにすると逆に智香を傷付けてしまうと思った二人はいつも通りに接することにした。

「亜梨沙さんっ」
ある日の学校からの帰り道、智香は亜梨沙と公園で会う約束をしていた。
「お待たせ、智香ちゃん。ちょっと待たせてしまったみたいね」
「ううん。これくらいなら大丈夫ですよ。香織ちゃんなんてもっと遅刻することがありますから」
「まったく、あの人は……」
呆れたように溜息を吐く亜梨沙に対して、智香はとても楽しそうに笑った。
「今日は亜梨沙さんにお礼を言わないとって思ってたんです」
「お礼……?」
不思議そうな顔をする亜梨沙に智香は深々と頭を下げる。
「亜梨沙さん、智香にけじめを付ける機会を与えてくれてありがとうございました」
「……智香ちゃん」
「智香は亜梨沙さんのお陰でなんとか吹っ切れそうです」
智香の明るい笑顔に亜梨沙は少し安堵した。
「でも、出過ぎた真似をしてしまってごめんなさいね」
「良いんです。亜梨沙さんがお兄ちゃんを叩いてくれたお陰で智香は前に進むことが出来たんですから」
そう言いながら智香は亜梨沙に抱きついた。
「智香は亜梨沙お姉ちゃんのこと大好きですよ……」
「ちょっ!? 智香ちゃん」
慌てる亜梨沙の様子に智香は楽しくてしょうがないみたいだった。
「これからも智香のお姉ちゃんでいて下さいね……」
甘える智香に亜梨沙は苦笑いしながらも内心悪い気がしないことを感じつつ、智香の頭を撫でる亜梨沙だった。


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