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【悲恋 恋愛小説】

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絆 -see you again--3

あれ以来沙夜とは会っていない。怖かった大切な人を目の前で失うのは。それでも沙夜に会いたかった…。そして俺は病院の前まできた。だがどうしても後一歩が踏み出せなかった。
「沙夜に拒否されたら俺にはいる場所がないもんな…」
自虐的に笑って俺はもと来た道を帰ろうとした。
不意に後ろから誰かに抱きつかれた。イヤ…誰かなどわかっていた…。
「沙夜…」
「ごめんなさい…私、嘘ついてた…」
「ほんとはずっと傍にいてほしかった!でも…あおちゃんは私といると悲しくなるだけだから…ほんとは友達なんか作っちゃいけなかった!どうせすぐ死んじゃうんだからどうせ…」
「沙夜…」
俺は遮るように声をかけた。
「これからまた一緒に遊ぼう?ずっと一緒にいるから…」
「でも…」
「沙夜はどうしたい?」
ありったけの優しさを込めて聞いた。
「私は…私は……あおちゃんのそばにいたいよぉ…いつもみたいに遊んでいっぱい話したいよぉ…」
「じゃあさ、これからもそうしよう…ね?」
俺が振り向いた瞬間抱きしめてた手から力が抜けた。一瞬遅れてドサッっと倒れる音がした。

沙夜が集中治療室に入ってから3時間たって手術中のランプが消え白衣の医師が出てきた…。
「意識が戻りましたが…最後にお話しますか…?」
俺は治療室に入っていった。そこには沢山のチューブにつながれた沙夜がいた。酸素マスクがとられる。沙夜が口を動かしてるがなにも聞こえない。近くによる。かろうじて聞こえるような声で喋っている。
「あおちゃん…約束破らせてごめんね…ずっと一緒にいてくれるはずだったのに…」
「ごめんね…」
「沙夜…もう喋らなくて良いから…」
強く沙夜の体を抱きしめる。
「私、疲れちゃったよ…あおちゃん…」
「そっか…じゃあ寝た方が良いな…」
最後の方はかすれて聞こえなかったかもしれない。
「うん…。なんだかとっても眠たい…」
心電図の鼓動が弱くなっている…。
「沙夜…ゆっくり寝てまた遊ぼうな…」
「うん…。おやすみなさい…。」
静かに沙夜は目をつぶった。
「ご臨終です…」誰かがそう言った。ただ沙夜の亡骸を強く抱きしめることしかできなかった。

一夜明けた。沙夜がいなくなること覚悟してたはずだった。予想より遙かに悲しかった。一晩中涙で眠ることなどできなかった。俺が今いるのは病院の外来用ベッドであの看護婦さんが用意してくれたらしい。
「失礼します。」
一声あってあの看護婦さんが朝食を持ってやってきた。
「ご飯食べれますか…?」
「スイマセンいらないです…。」
「そうですか。…………あの…。一つだけ聞いてほしいことがあるです。」
看護婦は食事のトレイを置いて俺の前に座った
「沙夜のことですか?」
「はい。」
「なら、もういいんです。」
「これは私の独り言なので気にしないで下さい。」
どうしても聞いてほしいらしい。
「あの子…沙夜ちゃんは早くに病院の前に両親に捨てられてからずっと独りぼっちだったんです。同室にいた子ともなかなか仲良くなれなくて…1人だけ仲良くなった子は自分と同じ未来のない子でした。普通の人に心を開いたのは蒼さんが初めてでした。沙夜ちゃんはあなたと出会って少しの間だけですがとても幸せだったと思います。沙夜ちゃんに生きた証を残させてくれてありがとうございました。」
そういって看護婦は深々と頭を下げて部屋からでていった

1人、残された部屋で考えた事は将来の夢。沙夜が一回だけ話してくれた夢。それが今、生きてる俺に出来ることだから……。



いつか…君が生まれ変わっても絶対探し出してみせる…だから今はさよなら……。


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