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【悲恋 恋愛小説】

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絆 雪の降る町で…-1

雪の降る町で…
雪が降っていた。
もうここで朽ちてもいいと思ってた。
沙夜がいなくなってもう2年がたっていた。
あの後ただがむしゃらに走り続けてきた。
ホントはただ認めたくなかっただけかもしれない。沙夜の死を…。
病院近くの公園のベンチで…沙夜といた場所で…終わりにしようと思った。
「傘…忘れたんですか…?」
女の子の声…幻聴だと思った。もう死期が近いのだと思った。
「生きてますか〜?」
少しだけ首をあげて目の前の女の子を見上げる。
「もう…いいんだ……。気にしないで行ってくれ……」
女の子は黙っていた。
「辛い…ことですか…?」
俺は答えなかった…。
「忘れたいことですか…?」
「……。」
静かに首を振る。その拍子で頭に積もっていた雪が落ちる。
「そっか……。」
女の子はベンチの雪を降ろすと俺の隣に座った。そのまま2人共黙ったまま時間が過ぎた。
「あのさ…なにがあったか話したくないならいいけど…辛いことは誰かに話すと楽になるんだよ…。」
女の子はゆっくりとした諭すような口調で言った。
「アンタにはわかんないよ…」
「まだ聞いてないから当たり前だよ…」
「帰ってくれ。俺に構うな。」
「そっか…」
女の子がベンチから立ち上がると、傘に乗っていた雪が落ちた。
「風邪ひいちゃうよ…。」
そう言って女の子は首にかけていた赤いマフラーを外すと俺の首にかけた。
そのまま立ち去っていった。俺はそこでしばらく空を眺めていた。空は灰色に曇っていて、白い雪が降っていた。その後ゆっくりと目を閉じた…。


まどろみの中で夢を見た…幸せになれる夢、ずっと大切な人間と一緒にいられる夢…。
温かい夢を見た。
ずっと一緒にいられる夢。大切な人と…
でも…その夢は現実とは違う…叶わなかった夢…。


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