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【悲恋 恋愛小説】

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絆 雪の降る町で…-6

雪の降る町で…
香澄は夕食の間もずっと黙っていた。そんな香澄と俺を巴さんは不思議そうに見ていた。
結果的に俺はその場の雰囲気に負けて、食べ終わっていなかったが早々に切り上げて、部屋に戻った。
しばらくぼんやりとしてると、部屋のドアがノックされた。
「最上君…入っても良いですか?」
「どうぞ。」
巴さんは持ってきたお茶をテーブルの上に乗せ、巴さん自身は、近くにあったクッションの上に座った。
「足の方は大丈夫ですか…?」
「ああ。まあボチボチってとこです。」
とりあえず最近はゆっくりなら壁づたいじゃなくても歩けるようになるまで回復していた。
「香澄と…喧嘩でもしました…?」
「何か…気に触ること言っちゃったみたいですね…」
「なんて言ったの?」
「イヤ、ただ何で俺を病院に連れて行かなかったか?を聞いただけなんですけどねぇ…」
巴さんは少し考え込んでいた。


そして、何かを決心したかのように見えた。
「最上君には、話しても良いかもしれませんね…」
俺は黙ったまま次の言葉を待つ。
「あの子は親友を助けられなかったから、せめてもの罪滅ぼしなのかもしれません…。」
「それは…どういうことですか…?」
一拍の呼吸をおいて聞いた。
「お母さん…私が話すよ……」
不意に香澄の声がした、もしかしたら始めから話すつもりで部屋まで来ていたのかもしれない。
「……じゃあ、香澄。ちゃんと話すのよ?」
「うん…。」
香澄は沈んだ声で返事を返した。
「私ね…、幼なじみの子で親友の子がいたの…とっても仲が良くて、いつも一緒にいたの。私は、あの子の事ならなんでも知ってるつもりでいたの。けどね…、私が中学にあがった頃にね、その子が虐められるようになったの…私は違うクラスで新しい生活に手一杯だったのもあって、気付くことが出来なかったの。それでね…一学期の最後の日にね…学校の屋上に呼び出されて…私……止めること…出来なかった……気付いてあげられなかったの…親友なのに…」
泣きながら、香澄は今は亡き親友に謝っていた。

理由が、解った…気がした…。
「あのさ…香澄…」
初めて逢った日のようにベッドに顔を突っ伏して泣いていた、香澄の頭に手をおいて、声をかける。
「たとえ、親友であろうとさ…相手の気持ちなんか解らないとおもうんだ…」
「でも…」
「香澄の言いたいことはわかるから…でも、俺はその子は香澄に感謝してたと思うよ…」
香澄はなにも答えなかった。けど、遠くを見つめ、思いだしていた。
『あんなのは嘘だ…』俺は心の中ではそう思っていた。『適当なことを言って…。最低だな…俺は…。』
「蒼君…少し楽になった気がする…ありがと…」
「どういたしまして。」
「やっぱり人に聞いて貰うと落ち着く…」
「俺はこんな事しかできないからな…」
ううん。と香澄は首を振った。
「ありがと。」
そう言いながら笑った香澄の顔は、いつか見た、沙夜の笑顔に似ていた。


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