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【悲恋 恋愛小説】

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絆 雪の降る町で…-5

雪の降る町で…
「蒼君っ!」
いきなり耳元で叫ぶ声で起こされた。
「もう少し優しく起こしてくれ…」
「だって何度も声かけても起きなかったから…ごめんねっ!」
部屋に掛かっている時計を見ると、1時を指している。香澄達が出ていったのが8時なので5時間も眠っていたということになる。
「蒼君は、お昼なにがイイ?」
「なんでもいい。」
「じゃあ出来たら呼ぶから、寝ないでよね。」
そう言い残して、香澄は台所に行ってしまった。「いつからこんなに寝るようになったんだっけな…」今は寝てるときが一番幸せかもしれない…。何も考えずに済むから。何でも叶うから。
『寝てるときが一番幸せなのは、それは一番死に近い状態だからだ』
誰かがこんな事を言ってた気がする…。あながち嘘ではない。俺は死を望んでいる。
「蒼君〜!ご飯出来たよ〜!」
香澄の呼ぶ声で、思考が中断した。そして、呼ぶ声に従い階段を降りていった。
今日のお昼はチャーハンのようで、真ん中の大きなお皿に山盛りにチャーハンが盛ってあった。
「ささ、いっぱい食べてね。」
「いただきます。」
俺がそう言うと満足そうな顔をして香澄も「いただきま〜す」っと言った。
その日のチャーハンはなかなか美味しくて、いつもより食が進んだ。香澄にそう言うと素直に喜んでいた。
食べ終わって、向かい合いながらお茶を飲みながら、俺と香澄は雑談をしていた。基本的には香澄の話したことに受け答えてるだけだが…
「高校2年生で将来の夢とか聞かれても困るんだよね〜。なのに決めないと先生怒るし…」
その問いで、俺は沙夜の事を思い出した。沙夜が語ってくれた夢。
沙夜がなんて言ったのかそこがすっぽり抜け落ちて覚えていないが、絶対に叶わない夢だった。
「蒼君はなにか夢とかある?」
「……大切な人とずっと一緒にいられること…」
「そっか…」
それっきり雑談は無くなった。ただ暇つぶしにつけたテレビだけがしゃべり続けている。
「あの後、どうして俺を助けた?」
「人が死にそうになってたら助けるのは、当たり前でしょ?」
「だったら、なぜ病院じゃなくて、この家につれてきたんだ?」
「普通なら病院に連れていって、終わりだろ?なのにわざわざ自分の家に連れてきた…なんか理由があるんじゃないのか?」
それを言うと、それ以降。香澄は黙ったままだった…。そして一言も発さぬまま、部屋に戻っていった。


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