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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-5

「ほらっ、とっとと自己紹介しちまえって!」
傍目にも高揚状態と見える健介。おそらく、盛り上げようとしすぎていろいろな「たが」が外れているのだろう。
そんな彼に内心文句を言いたくなってしまうが、流石に場所が場所。空気を読んでその言葉はちゃんと飲み込んでおく。その上で、気を落ち着かせるために一息。そして席に着いたまま、軽く一礼。
「えと、誠司です。よろしくお願いします」
本人としては妥当な挨拶。しかしそれは、本人も気が付かないうちに、合コンという軽い場面にはそぐわない堅苦しさを含んでしまった。
すると女性陣は何を思ったのか、互いに顔を見合わせて苦笑い。そして健介もまた、哲也と軽く目を合わせた後、やれやれとわざとらしくため息をつきながら肩をすくめた。
当たり障りのない挨拶をしたと思っている誠司としては、周りがそのような態度を取るのがどうにも合点がいかない。密かに眉をひそめながら、意味もなく烏龍茶に手を伸ばした。
――と。

「よろしく、お願いします」

澄んだ控え目な声。
それは誠司のみならず、皆にとっても予想外だったようだ。誠司も含め、皆は一拍の間を置いた後で声の主を求め、一斉に声が発せられた方に注目してしまった。
――声の主は、誠司の前の席にいた。女性陣の一人、「ふわふわとした」女性だ。声を返してくれたその女性を、誠司は思わずまじまじと見つめてしまう。
少し垂れ下がった目。控え目な胸や少し細めの顔立ち。改めて見るとそれらはカールを巻いた髪と相まって、全体的に細く華奢な印象を抱かせる。そして、身に着けている清楚な色合いの服がその印象に上品さを上乗せし、非常に繊細で綺麗な雰囲気を醸し出している。
彼女は皆が注目して少し経ってから、はにかんだような笑みを誠司に向け、軽く頭を下げた。
そこはかとない好意と、どことない品の良さを併せ持ったその動作に、健介と哲也は微かに色めき立つ。しかしそれ以上に、どういうわけか彼女の横に並ぶ二人の女性が色めき立つ。
そして彼女らは、互いに目配せ。ややあって、意味ありげにこくりと頷き合った。
「じゃあ次はあたしの番でぇーすっ!」
直後、片方――ショートヘアの女性が急に立ち上がり、誠司が挨拶した時の困惑が嘘であったかのような調子で手を上げた。
「あたしは千奈(せんな)です!よろしくね!」
声が室内に大きく響く事など構わず、やけに高いテンションで挨拶をする。その後で、先程急に立ち上がった時と同じようにさっと座った。その行動が、ただでさえ幼く見えた彼女を更に幼くみせる。
その隣で、千奈と顔を見合わせたストレートヘアの女性が咳払い。どこか呆れた節の漂うそれの後で、こちらは座したまま口を開いた。
「私は京香(きょうか)だ。京の香りと書いて京香になる。男性諸君、よろしくな」
容貌に見合った凛々しい声。先の千奈が不思議な程に幼く見えた事と合わせて、逆にこちらは不思議な程に大人っぽい印象を抱かせる。彼女は健介とは別種の気障な笑みを男性陣に投げかけてから、飲み物を手に取った。
そして一口つけると、隣――誠司に挨拶を返した最後の女性の肩に手を置いた。
さぁ、今度は君の番だ、といった具合なのだろう。
それを察してか、健介と哲也は僅かに身を乗り出しながら、彼女に注目する。
一方で誠司は、否が応でも彼女と向き合う形となるため、じろじろと見るのを避けながら、今度は照れ隠しに烏龍茶を一口。
対して、女性は視線を気にしているのか、どこか恥ずかしそうに俯く。それからややあって、意を決したように顔を上げ、口を開いた。


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