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社外情事?〜気晴らしの酒と思わぬ睦事〜
【その他 官能小説】

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社外情事?2〜初めての合コンといきなりの告白-11

「…はい、鍵」
しかし出るはずもない自答は、玲が自分のバッグから取り出した鍵に遮られる。彼女は誠司の手にその鍵を握らせると、マンションの入口を指さした。
「…認証は、右の人差し指よ……部屋は、503号室、だから…」
くぐもった声で呟いたきり、黙り込む。不思議に思った誠司が俯いた玲の顔をのぞき込むと、彼女の目はほとんど閉じていた。
――どうやら、そろそろ限界らしい。
苦笑しながら、誠司は腕からずり落ちそうになる玲の腕を担ぐようにして、マンションの入口まで歩いた。

指紋照合用と思われる機械に玲の人差し指を当て、ガラスの自動ドアを通る。
エレベーターを使い、五階まで上がる。
玲に言われた番号の部屋――503号室を見つける。
預かった鍵で、部屋の扉を開ける。
そして。

「…玲さん、着きましたよ」

中に入り、後ろ手に扉を閉めながら、誠司はすうすうと寝息を立てる玲を揺り起こそうとする。しかし、玲は微かに唸るばかりで、起きる気配が全くない。
「…って、起きるわけないか。結構疲れてたみたいだし」
自嘲。彼女は起きないだろうと判断し、誠司は扉の鍵を閉める。その後、一度玄関で玲を降ろし、彼女を寝室に連れていくために靴を脱がせる事にした。
ストッキングに包まれた彼女の足からヒールを脱がせるのは、案外簡単に終わった。途中、うっかり彼女の足を開かせてしまい、膝丈のスカートの間から見てはいけないものが見えそうになりはしたが、そこはなんとか乗り越える。
続いて自分も靴を脱ぎ、再び玲の腕を担ぐような格好で部屋に上がった。
「…えっと、寝室は…」
なるべく玲を起こさないようにしながら、広い部屋の中を探し歩く。
すると誠司が思っていたよりも早く、目当てのものを見つけ出す事ができた。
「…あった」
何枚かの扉を開けた後に見つけたのは、ベッド。ベッドがあるという事は、その部屋は必然的に寝室となる。
誠司は寝室を見つけると、やや躊躇いがちに扉を開き、中に入った。いかにも良質のものでできていそうなベッドに近づくと、再び玲を降ろす。そして掛け布団をめくってから彼女を持ち上げ、ベッドの上に横たえる。そして掛け布団を被せると、ようやく安堵の息をついた。
(…これでよし、と。……さて)
しかし安堵は、すぐに困惑へと変わる。

(…そういえば、玲さんが起きないと、帰るに帰れないんだよな…)

――そうなのだ。
誠司は、玲の部屋に来るのは初めて。当然、合い鍵など持っていない。よって玲の部屋の鍵については、本来彼女に委ねなければならないのだ。
しかしその彼女は寝てしまい、起きる気配がない。
つまり、「役目は終わった」などと呑気な事を言って誠司が部屋を出ると、玲は鍵の開いた部屋に一人、無防備な状態で取り残されてしまうのだ。
そのような事は、決してあってはならない。社長という立場を差し引いたとしても、玲はれっきとした女性。警備が万全であっても何かが起こる可能性を捨てきれない今のご時世に、部屋の鍵を開けた状態で女性が寝ているなど、不用心も良いところである。
――そして誠司は、そんな酷すぎる不用心を行う程愚かではない。

だが今のこの状態も、考えようによっては非常に危険なのだ。
玲は今、ベッドの上で寝息を立てている。
その彼女を部屋まで運んできた誠司は、当然起きている。
そして二人は昨日、初対面でいきなり互いを激しく求め合うという非常識な事をやってしまったばかり。当然、誠司は玲がもたらす悦楽の味を、鮮明に記憶している。
すなわちこれは、考えようによっては「据え膳」という都合の良い状態であり――


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