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さぁ満月だぞ!
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さぁ満月だぞ!Act.7-2

『妃さん!林檎飴買っていい!?あーでもクレープと人形焼きも…でもお好み焼きも食べたいしなぁ…あぁ!あそこにかき氷もある!』

こうなると花火大会ではなくグルメツアーだ…

『わ、解ったから落ち着きなさい。とりあえずグルッと回って今食べる分だけ買って後でお土産買いなさい。』

私はお好み焼きとかき氷。
彼は…お好み焼き、焼そば、、タコ焼き、フランクフルト、クレープ、かき氷…

お前の胃は一体…?
しかもまだ物足りない顔をしている…
…にしても本当細っ

『妃さん宇治金時って渋いですね。』
『甘いの苦手だけど餡子は好きなの』
『婆ちゃんみたいっすね』
…ババクサイという意味か?

――第24回笠浜松市花火大会、打ち上げまでカウントをしたいと思います。
10秒前…9、8、7、6、5秒前、

彼は隣で楽しそうにカウントしている。
私はそういうタイプではないので黙って空を見上げる。

『3、2、1!』

ひゅるっと音を立て色鮮やかな花火が挙がる。

音にビックリして私は少し跳ね上がってしまった。
今の失態を見られていないかと礼の顔を見ると私を見てクスクス笑っている。

『わ、笑うな!』
『大きい音ダメなの?』
花火がバンバン挙がって良く聞き取れない。
花火の音が鳴る度にビクビクしてしまう。

すると彼が後ろに回りこみ両手で私の耳を塞いだ。

さらにびっくりする私の顔を覗きこみニコッと笑う。

そんな顔で笑うな!
ぼっと自分の顔が熱くて赤くなってるのが解った。

しばらくすると花火がやまった。

『大丈夫ですか?』
黙ってうんうん頭を上下させる。
顔赤いのがばれちゃうし私ちょっとエッチな事考えてたのばれちゃう!

『えっ…?本当大丈夫?花火ダメだったとか?』
さらに顔を近付けてくるのでびっくりして
『大丈夫だってば!』
なんていうやりとりをしていると

『あれ?田中?』
礼が誰かに呼ばれて振り向くと
『おぉ!義治!あれ?皆も一緒?』

どうやら同級生らしい。

きょとんとする私をしり目に楽しそうに話している。
『礼ったらまたそんなに食べてー』
後ろにいる蝶の浴衣姿の女の子が話しかける。

『後ろの美人さんって…例の彼女?』
眼鏡をかけた男の子が聞いてきた。

『えへへ。そう。』
礼は少し照れてそう答えた。

『おみゃーのろけてんじゃねー!』
と羽交い締めにされている。

『うっ…で義治達はどこで見てんの?いい席取れた?』
『ちょっと聞いてよー!義治が遅刻して結局立ち見だよー!』
『へへっ…ヒーローは遅れて来るもんさ…』
そんな義治を無視して蝶の浴衣姿の子が言った。

『礼結構いい席取ったねーいいなーあたしもう足痛くてー』
と私をチラリと見ている。

あぁ座らせろって事ね。
いいっすよ。別に。
てかこの状況私も礼も断りにくいじゃん。


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