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西遊々記
【ファンタジー 官能小説】

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西遊々記D-3

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「蘭の花か…」
悟空が倒れている大猿の左胸を如意棒でコツンと つつく。
そこには小さな蘭の花が浮き上がっていた。

「彼女の仕業だな…」
「蘭ってあの碧い髪の綺麗な女の人?」
あたしは夢で三蔵と一緒にいた女性を思い出し問う。チクンと胸が痛む。

「蘭は三蔵の許嫁だったんだ。」
三蔵の代わりに悟空が話し始めた。

親同士が決めた許嫁であること。そしてその女性は疫病にかかり、もうこの世の人ではなくなってしまったと。
三蔵への情愛の念が『物の怪』となって現世に残ってしまっているのだと。

「今は妖魔となってしまったがな…」
三蔵が苦笑いしながら付け加えた。


現世に魂だけ残ってしまった最愛の許嫁を天界へ戻す為、三蔵はその手だてを探すべく旅を続けているらしい。

「そこで経典の話しを耳にしたんだ。あんず、経典の化身であるお前の力を貸して欲しい…」

三蔵はあたしを食い入るように見つめた。普通の高校生のあたしに何ができるんだろう…
でも、あたしに出来ることがあるなら、力の限り協力しよう。三蔵の為、蘭さんの為に!


続く・・・


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