投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

「とある日の保健室」
【学園物 恋愛小説】

「とある日の保健室」の最初へ 「とある日の保健室」 2 「とある日の保健室」 4 「とある日の保健室」の最後へ

「とある日の保健室その1」-3

「怖い……怖い……」
頭を抱え、俺は涙を流し始めた。熱をもった雫が頬を伝う。
もうあんな想いはたくさんだ。胸が潰れる。
(……やり過ぎたのかしら)
星野の心に後悔の念が浮かんだ。
やらなければ良かった……星野は、許そうかな、という気持ちになっていたようだった。
俺の震える肩に手を伸ばす星野。俺は気付けない。
「っ!?」
ばっ、と俺は後ろを振り向く。ようやく俺は気付いた。
「星野……お前、学校に来てないんじゃ……」
「ここに潜んでいたの……それより、ごめんなさい。やり過ぎた……」
何を今更、とは思ったが、だからこそ怒る気にもならない。
涙を拭う。
「いいよ……謝るぐらいなら、今すぐ誤解を解いてきてくれ」
が、事もあろうに奴は、
「誤解?襲おうとしたのは確かじゃない」
などと言いやがった。こいつめ……。
「ああ、そうかよ……」
もう苦笑いしか出ねぇ……。
「星野」
「星野優花」
「は?」
「私のフルネーム。優花、って呼んで」
何で急に……ま、いいか。
「じゃ、優花、もうそれでいいからさ、田之上とかにうまく説明してくれないか?」
さすがにどうにかしてもらわないと、俺が困る。精神的に参って、不登校になっちまう。
「分かったわ。うまく言っとく。それから……こう言うのも何だけど……」
優花は続けた。
「これまでの事、水に流してくれないかな?」
「……お前、俺の事が嫌いなんだろ?」
「嫌い、だった……今はもう、そんな事ないから、だから……友達になってくれないかな?」
友達に?
どうしてだ?
「ね?いいでしょ?」
「……ああ、分かった」



保健室から始まった、俺たちの関係。
でもまさか、あんな事になるなんて……この時の俺はまだ、知らない……。


「とある日の保健室」の最初へ 「とある日の保健室」 2 「とある日の保健室」 4 「とある日の保健室」の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前